第9話 雨宿り
暗くなった空を見上げて、しばらく前から軒先で雨が止むのを待っていた。単調な雨音が続いている。バシャバシャと単調な雨音を破って音が近づいてきた。コートで頭を覆った男だった。隣に駆け込んでくる。
「突然降り出しましたね」
男はコートを頭から取りながら声をかけてきた。ずいぶんと大きな男である。見上げないと目を合わせられない。「!」 猿であった。
大猿は世間話をはじめる。たぶん世間話なのだろう。実のところ話なんて聞いていないから世間話なのかどうか分からない。大猿の口元が動くのを得体の知れない生き物のように見るばかりだったのだ。
雨は止む気配がない。
大猿の口元は動き続けている。
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