第5話 鍵

キーホルダーに見知らぬ鍵を見つけた。たわむれにその鍵を家のドアの鍵穴に差込んでみる。開くとは思わなかった。マスターキーなのだろうか。


ドアを開けると「おかえりなさい」と声がすした。一人暮らしの家に誰かほかの人間がいるなんて……。家に入るのがためらわれる。

恐る恐る奥に行くと、リビングでその人間がくつろいでいる後ろ姿が目に入った。


ああ。

あふれる涙で目が潤み始める。

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