第300話 遣らずの雨 ②

もつと思っていた天気は崩れ、あっという間にどしゃ降りになった。

塀の無い家で借りた軒先の樋からも雨が溢れ、土の道に泥水の川を作る。


駆けだすタイミングを計りかねていると、

裏口からつっかけで出て来た、スリップ姿の四十がらみの女に腕を引かれる。


彼女の降らせた遣らずの雨は、止みそうもない。



★☆★


バラック小屋(バラック集落)っていうのかな。

隣の家の屋根と自分とこの屋根が重なってるか重なってないかぐらいの距離で、家同士の境界線が曖昧な、住宅密集地。


彼の目的地Aと目的地Bの近道だったりしたんじゃない。

女は、ずっとこのチャンスを待っていた。

強引に家の中に引っ張り上げて…ムニャムニャ

みたいな。


裏お題は〖日照り〗

いや。このお題の時、”女日照り”を思いつかなかった自分への「渇!」の意味を込めて、”男日照り”を。




残り65話

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