第224話 中心

 北に座る范増はんぞうは焦れて、項荘こうそうを呼んだ。


 いくら合図を送っても、西に座る項羽こううが、南に座る劉邦りゅうほうを斬ろうとしないからだ。


 理由は解っている。

 項羽の横に座る彼の叔父の項伯こうはくは、劉邦の軍師で東に座る張良ちょうりょうに恩があり、項羽を宥めているのだ。


「剣舞を装い劉邦を殺せ」


 かくて、鴻門こうもんかいの中心で項荘は舞った。




★☆★


項羽と劉邦の鴻門の会の場面。


● 劉邦

 後の漢の高祖(初代皇帝)。

 この頃は、沛公はいこうで、10万の兵の将軍。

 項羽より先に秦都咸陽を陥落した事で、項羽の怒りを買った事を知り、鴻門にいる項羽を訪ねて弁明する。


● 張良

 劉邦の軍師。

 劉邦と共に鴻門に行く。


● 項羽

 40万の軍の将軍。

 『劉邦が秦の王になろうとしている』の讒言を聞き、彼を謀反の罪で殺害しようとした。


● 范増

 項羽の軍師で、項羽から亜父(父に次ぐ)として敬愛されている。

 将来の禍根を絶つ為、劉邦殺害を謀る。

 

● 項伯

 項羽の叔父。

 その昔、張良に自分を仇とする者から匿ってもらった。

 項羽が劉邦軍を撃滅しようとしているのを知り、張良だけでも助けようと劉邦軍に居る張良の元へ行く。(張良が一人で逃げるを拒否して、鴻門の会となった)


● 項荘

 項羽の従兄弟。

 范増から劉邦を殺すように指示を受ける。


概ね、こんな感じ。


    范増

    ↓

項羽 → 項荘 ← 張良

    ↑

項伯  劉邦



☆★☆


次のお題は〖ボディタッチ〗

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