第223話 藪の中

ずっと、藪の中を進んでいた。


二時間の半生の末に結ばれた姫を置いて出家して以来、

極力、人里には下りず、

懺悔のきょうを唱え、

悔恨を食って生きてきた。


ボロボロだった墨染の衣が、

まるで剃髪した日の様に真っ新に感じたあの時、

私はようやく死んだのだ。


忌々しくも美しい黄金の月下に、あの御方は居る。




★☆★


拙作〖月の囚人 【KAC2022】-⑩〗の遊行僧ゆぎょうそうのいでたちの彼

https://kakuyomu.jp/works/16816927861889999136


映画の登場人物のその後の人生を終えた後。



☆★☆


次のお題は〖中心〗

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