第207話 にわか雨

詫びに差し出した封筒の中身ごと、

「この、人でなし! 二度と来るな!」

と、玄関の外に突き飛ばされた。


トボトボ帰る道すがら、ポツリと頬を濡らす雨。


「散華、散華。六根清浄」


やがて、そぼ降ってくる雨を掌に受けながら空を見上げて呟くも、

一時いっとき、感傷の懺悔など、この雨の如くにわかに止むのだ。




★☆★


まぁ。何か後味の悪い事になったんでしょうね。

「反省してます。もう、しません」とばかりに、煩悩や私欲を払うポーズを誰に見せるわけでなく、自己満足に浸るも、また、繰り返す事を、自分が一番解ってる。

みたいな。


封筒の中身は、もちろん札。(但し、おためごかし程度の)


つか、「散華、散華。六根清浄」を使いたかっただけなんだよ~ん。



☆★☆


次のお題は〖君の声〗

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る