第160話 相合傘 ①

「あっ。ここまででいいよ。ありがとね」

そう言うやいなや、僕の傘から飛び出して、雨の中を走りだす。


「えっ?」

と、彼女の後姿に顔を向けると、その先には傘をさした誰か…男。


まるで、学校からずっと一人で走ってでもいたかのように、

あっさりそいつの傘に入れてもらって相合傘。


ちぇっ。

なんだよ。




★☆★


彼女が駆けて行った先の男とは、学校が違うのでしょう。


傘を持って来てなかった彼女は、傘を差して帰ろうとしてた彼に、

「入れて~」とおねだりして、一緒に帰る事に。

急接近に、(え? もしかして、こいつ俺の事…)と喜んでた彼だが、

帰宅途中、彼女スコープは、傘を差した"彼女の大好き"を捕らえたんだね。



あら?

明日ってバレンタインだったわ。

あらあら、まあまあ。


えぇ~~~。

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