第117話 三文芝居 ①

すまんが、確かに、あんたは千両役者かもしれんが、

さっきの芝居の出来じゃ三文出すのがいいとこだな。


三途の川の渡し賃。

持たされなかった六文をまけてやるには半分足りない。


だからよ。

相手役が来るまで賽の河原で待ってちゃどうだい?

あの女形おやまとは舞台を降りた後も、息の合った相方だったんだろう?




★☆★


死んだ二枚目の立役が六文銭を持ってなかったので、

奪衣婆と懸衣翁が彼の(女形とのラブシーンの)一人芝居を見て、

「渡し賃の半分の値打ちしかないよ」

って、これがほんとの三文芝居。っていう感じを…。


本当はきっと良い芝居だったんだろうけど、

良い芝居だったからこそ、彼の公私ともの相方が死んでやって来るまで、

(役者の蔑称である)河原乞食をして待ってもらい、

二人揃った最高の芝居を見ようという魂胆。

と同時に、現世でラブラブだった二人を一緒に三途の川を渡そうという粋な計らい。



〖2年目:第005話 メイド喫茶 ①〗

https://kakuyomu.jp/works/16816700427843453546/episodes/16816700428203462397

の奪衣婆と懸衣翁かもしれない。



☆★☆


次のお題は〖操り人形〗

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る