第2話 2


「今回は、姫が外にでる用事はないから…私の調査の手伝いをしてもらおう。


数日ここを離れる事になるかもしれないけれど…大丈夫かな?」



食事が終わり、コルノは開口一番でそう言った。



「別に問題はねぇーが、小娘の護衛はあのゴリラだけでいーのか?」


「ぁあ、問題ないさ。

元々は、私たちがそれぞれ1人ずつローテンションで護衛をしていたからね。」



コルノがそう言ったが、プロトは頭を掻く。



「あのゴリラの実力を疑ってる訳じゃねーよ。

どんなに爪を隠そうが一目見れば、雑魚か大物か見分けがつく。


…俺が危惧してるのは、小娘に駄々甘なあのゴリラを止めるやつがいない間、護衛にしていいのかだ。」



コルノは、プロトの言いたい事が分かった。

バルだって1番長くスーの使用人を務めていたプロ中のプロ。


きっとプロトが思い描くような事は起こらないだろう。


そんな言葉を口にしたがったが…コルノ自身もそう言われると不安になってしまう。



「…釘を刺した上でなるべく早く戻る様にするさ。」



すまない、バル…。

内心でここにはいない彼女に謝罪をしながら消えそうな声でプロトにそう話した。




コイツも色々と大変なんだな…。



プロトは、コルノの立ち位置に少し同情しながら今回の仕事の話を聞いた。





茨木童子【いばらきどうじ】。




一つの村を単騎で壊滅させた怪異らしい。

顔立ちの整った美形だとか…近づく者は殺されたり、茨木童子から放たれる気で病となり亡くなったり…とにかく不幸を撒き散らすのだそうだ。



「…おいおい、説明にしてはフワッとしすぎじゃねーか?」



「仕方がない、怪異とはそういうものだ。

人々の不安と伝承の塊。


それを払うのも私達の仕事だ。

ほったらかしにして、力をつけられても後始末が大変だからね。」




2人は、詳しい情報を得るために噂を聞いた村に向かった。

コルノは護身用と移動補助を兼ねた杖を携え、プロトは先と同じように手ぶらでいた。



「前回もそうだが…君は手ぶらでいいのか?」


「一流は、武器を選ばないし何かと物を待つのが面倒だ。

それに…。」



プロトは、チラリと通り過ぎた通行人を見た。

通行人はビクリと体を震わせて足早に離れていく。


そんな様子を見たコルノは、なるほどと言った様子で息を深く吐く。



「なるほど、君も苦労をしてるね。


…とはいえ姫から戦闘力は聞いている。

武器が無くとも手練れだそうだね、期待しているよ。」




コルノは、プロトの肩をポンポンと軽く叩き数歩先に進む。



ついた村は、かなり殺伐としていて集落と言った方が正しいだろう。

地図や情報では村と呼んでいるため、へんないざこざが起こらないようここは村と呼んでおこう。



コルノは、プロトに念のためにそう伝えた。

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コバナシ 樹海譚 鷹美 @astta1x224

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