第37話 魔石を調べる
数日、ダンジョンへも行かず家に籠りっきりの俺はゲートの先で、一風変わったテーブルの上に並べられた”無属性”の小さい魔石と中くらいの魔石、そして大きな魔石を見比べてる事にした。
「こっちがゴブリンで、こっちがオーク、んでもって一番大きいのがキングゴブリンとキングオーク…で? これをどうするんだっけ?」
『目の前にある、シリンダーに装填し~! 魔石を進化エネルギーに変換します!』
「なるほど」
確かに目の前には9つの装置が設置されている事が解る。
色は赤や青等…順番に並べられている様だ…なんと親切で解りやすいんだろうか…
「で、っと…」
立ち上がった俺はそのまま9つ目の装置の前へ足を運ぶ、それはまるで幼少の頃に散々遊んだ”ガチャポン”に似た巨大な装置だ。
「何処からどう見ても、巨大なガチャポンなんだが…」
違う点は目の前に魔石と丁度大きさの穴があり、近未来的ディスプレイが設置されてある事だろう。
「まぁいいか…まずは小さい魔石を―――入れると」
カチャ…
『魔石の装填を確認―――エネルギーへ変換致します―――』
まず初めに俺は手の平より少し小さい位の大きさの魔石を装置へはめ込んだ。
次第に魔石は光を発すると装置の中に埃の様な粒子となって吸い込まれてゆく―――無色透明…これが無属性を意味する何かなのだろうか。
『変換完了―――判定は魔石(小)1P加算。 残り、9999ポイントです』
「い、いち!?」
『見たいですねぇ~…』
いくら弱いゴブリンの魔石だとは言え、たった1ポイントのエネルギーにしかならないのか!?
「じゃ、じゃあこいつは!」
続いて、手のひらから溢れるサイズの魔石を装置にはめ込んでみる。
カチャ――
『魔石の装填を確認―――エネルギーへ変換致します―――変換完了。 判定は魔石(中)10P加算。 残り9989ポイントになります』
「じゅ、十!? 小が1…中が10…と言う事は、大でも…」
今手元にある、両手から溢れんばかりの魔石を手に取ると俺は再び装置に魔石を装填した。
カチャ…
『魔石の装填を確認―――エネルギーへ変換致します―――変換完了。 判定は―――魔石(大)100P加算。 残り9889ポイントです』
「うそだろ…」
思わず膝から崩れ落ちた俺―――よく手に入ると言われている無属性の魔石でこの始末。 おまけに属性込の魔石は無属性の魔石よりも入手困難であり、それこそ大きいサイズのものが最低でも10個必要となるとそれだけでかなり苦労する事は目に見えている。
「小さな事からこつこつ…とか…」
というか、何故俺のアーマーの強化には魔石が必要なのだろうか?
いくらモンスターの魔力を蓄えた魔石とは言え…魔石である必要性はなんなのか…
『以前の話の続きになりますが。 魔石については”女神”の干渉外―――つまり、女神とは別の力が作用したもの―――それが魔石という訳です』
「別の力?」
『はい。 それが何のか、私達にも解りません―――しかし、異端者も同じくモンスターの力を吸収する事でレベルアップを行う。 原理は同じなのですが―――』
『なんでか、私達だけ”魔石”からエネルギーを供給するんですよね~その辺はさっぱりなんですけど! なんとなくそうしないといけない!みたいな?』
「どういうことだ?」
2人してはあまりにふわっとした現実味のない答えと言うか、こればっかりは追求したところでどうとなる話ではなさそうだ。
―――――――――――――――――――
それから地下の部屋に再び戻った俺は目の前に表示された”アーマー派生表”を眺める。
「すげぇな…ちゃんと用途によって使い分けが出来る仕様になってる訳か」
左腕に装備された電子時計の様な物を見つめる。
こいつの名は”アーマーストックウォッチ”時間の確認等はおまけでしかないが、こいつの本来の目的はアーマーを3つまでストックし持ち出せる機能だ。
今の俺にとって意味は無いに等しいが、いずれ役に立つ時が来る。
等と若干の現実逃避を始めているのには訳がある―――
「…………」
「…………」
頭を上げるとそこにはいつもと違う女性らしい姿をした”高身長の赤い髪のグラマラスな女性”が椅子にちょこんっと座っていた。
「……………えっと…」
もう少し何か喋ってくれ、俺はそう彼女に告げたい。
なんだが、そうしても言葉が出てこない―――妙になよなよしているというか…いつもと違う雰囲気のせいで何とも言えない空気感が漂っている。
「…………なに、この状況?」
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