第10話 異端者のそのまた異端
「えっと…それはどういう?」
だだっ広い部屋に案内された俺はそう告げる。
「だから~! あれだけ異端者、異端者と言ってはなんだが…無敵な存在ではない。 異端者だって痛みを感じるし、死ぬ! そしてその力は決して”理”の外を出たもんじゃねぇんだよ」
「ほぅ?」
いまいちピンとこない、まるで俺が違うみたいな言い方をするカイネに首をかしげる。
「いいか? あくまでの常識の範囲内って意味だ! 実現しようと思えばできるし、やろうと思えば実現可能!! それは異端者の能力だ! だからこそ、あいつらも”ゼロスキル”なんて事は無いんだよ。 解るか? この世界の99.99%はスキルを有している。 もっと言えば0.01%なんてレベルじゃない、スキルが無い人間なんてこの世界には存在しないんだよ!」
「……存在しない?」
「レッドレイン…」
「あぁ、それって雨が降ってきてスキルを宿したっていう…」
「あぁ。 その時にゼロスキルの人間は全員死んだ」
「――――――え?」
「俺は言った筈だ”スキル以外の特殊な能力”だと。 それはスキルではないが、大きなくくりでみればスキルでもある…」
「ん??」
どういうことだ? 現に俺はゼロスキルの人間として学園でハブにされてきた。
だからこそ、あいつらのそういう目は知っている筈だ…それが死んだ?
「お前の事はある程度調べさせてもらった。 言っとくが、お前に向けられた目は”異端スキル”と呼ばれる者へ向けられるそれだ」
「い、異端スキル?」
「おい、入ってこい」
すると、近くの扉が開き俺と同じくらいの年の少年少女達が姿を現した。
よく見れば双子か何かなのだろうか? かなり顔付が似ている様な気がする。
「カイネさん? 彼が例の?」
「そうだ」
「す、すごい…なんの異端スキルなんですか!? あれは!?」
「それを調べる為に今こうしてお前達を連れて来たんだろが!」
「「なるほど」」
「こっの男は
「「どうも~」」
「は、はぁ…」
ん~見るからにそっくりだ。 名前からして日本人だという事は理解できるのだが、それでもなんでも顔立ちは凄くいい方なのだろう。
「さて、黒斗! お前の瞳で何か見えるか?」
「では! 魔眼発動!!!」
次の瞬間、黒斗と呼ばれる男の右目が赤く光り輝く。
おぉすげぇ! かっこいい!!
「……想定通り。 何も見えませんね、ステータスがオール1? 何かの冗談ですか!?」
「だろうな。 オール1で間違いない、正常だ。 続いて灯樺!」
「は、はい!! 神眼発動!!」
反対に女の方は左目が金色に光り輝く…こちらこちらで何とも言えぬかっこよさがある!! 魔眼に神眼!? かっこいい!!!
「その…あの…」
「姉さん? そのリアクション…まさかと思うけどまさかだよね? 変な冗談は無しだよ?」
「ち、違うの黒斗? 違うのよ? な、”何も見えない”の!!」
「は?」
「…やはりそうか」
驚く黒斗とは別に腕を組み、強く頷くカイネは俺をまっすぐ見つめた。
まるでこの行動の意味を教えてやるといわんばかりの表情だ。
「黒斗は”魔眼” 普段は戦闘に置いて、その真化を発揮するのだが…”鑑定眼”飛ばれるものの上位にあたる能力だ。 それは隠しスキルをも見通す事のできる力」
「な、なるほど。 それで俺を鑑定したと?」
「そうだ。 が、こっちは問題でない――それは異端者だと証明されたに過ぎないからな? だが、問題はここからだ。 灯樺の能力は”神眼”異端者の能力を見極めるために覚醒した特殊能力のひとつだ。 彼女の前では異端者も全て丸裸にされる―――要は魔眼の異端者専用版といっても過言ではないだろう」
「ほ、ほぅ…」
「が、見えなかったのだな? 灯樺?」
「は、はい…何も…何も見えません。 あ、あの時と…同じで…」
「あの時? 姉さん!? それって例のエクストリームダンジョンの!?」
「え、えぇ…」
何かを飲み込む様な表情で俺を見つめるカイネは深いため息を付いたかと思えば、俺を指差しこう言った。
「これでハッキリした。 創輔、おまえのそれは異常だ」
「い、異常!?」
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