8-3
気付くのが、遅かった。
左端に残された、最後の1枚。
それがブラックホールの
ただ移動していただけの、ブラフ達を回収。
そのまま、飲み込んだ。
瞬間、巨大なドス黒い影が、『A』のカードを包み。
仮想の図書室を内部から破壊し。
具現化されたそれは産声、咆哮を上げる。
『ヌエ』。
『ドラゴン』。
『オヒュカス』。
『ウンディーネ』。
『ヤマタノオロチ』。
『ユーマ』。
『メガロドン』。
『イーヴィル』。
『リヴァイアサン』。
『イフリート』。
性根と頭と趣味、組み合わせと食い合わせの悪い。
それを後ろに従え、
「災厄最悪夢現幻獣『ユナイトメア』。
これが、
肩書の方が長い上に、名前までアレなのを意に介さないまま。
「ずっと考えてた。
どうにか、あんたを絶望、失望させる方法を。
あんたに二度も屈辱を味わわされた、あの日から、絶えず。
それが今、この状況だ。
なのに、どうだ。
ドン引かせる
どんだけお気楽なんだよ、あんたは。
お
拳を震わせ、感情を爆発させ。
悪役みたいな
「分かるか?
隙を見せたら、
完璧じゃなきゃ、孤独を貫けない。
鉄壁じゃなきゃ、傷を防げない。
天に仰ぎ地に伏すのは、もう御免だ。
黒星も、黒歴史も、真っ白に抹消する。
だから
徹底的に、痛めつける。
それが、この
分かったら、とっとと退場しろ。
……
怨嗟の声を飛ばすお姉様。
その姿を見て、改めて実感した。
彼女の、人となりを。
「……分かってないのは、そっちだろ」
「リンカーネイジまで見せといて。
今更、その程度でビクつく
いつまでも悪ぶってんなよ。
大体、あんたにヒールは似合わない」
「
「あんたには、
こういう場合、俺にとっての悪役はなぁ。
……俺を、『ダサカ』って呼ぶんだよっ!!」
調子付く俺は、ポケットに秘匿していたカード。
ここに入る直前に手に入れた、隠し玉を
最後のカードに、あれ以上の変化は
そんな悠長に構えられない。
これ以上は、一刻を争う。
残り時間は、たったの数分。
その間にガードを緩められた、秘策を引きずり出せただけ、御の字だ。
ここまで覚悟を示しても、彼女は一向に靡かない。
未だに、俺の好意に気付いてくれない。
というか、火力が増した。
それ
この窮地を、どう打開するか?
答えは、簡単。
別の糸口を、こじ開けるだけ。
万一に備えて、用意していた。
ここまで秘匿していた、奥の手を出すまで。
「……って言おうとしたんだけど。
どうやら、誤算だったらしい。
俺の負けだ、お姉様」
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