A-4
「はー。
やっぱり、一人が落ち着くなぁ」
部屋で人心地をつく。
すると、リングから不満そうな声が届く。
「なぁに?
私じゃ、ご不満?」
「怠いから、はよ戻れ」
「相変わらず、ツレないなぁ。
私は、嫌いじゃないけどね」
「鬱陶しい」
苦笑いする
善意と悪意。
ポジティブとネガティブ。
切り分けた二人が、溶け合い、重なり。
本当の、本来の
深呼吸し、メンタルの安定を確認し、ベッドに横たわり。
入手したてのネックレスからリングを外し、左の薬指に秒で嵌め。
そうして彼のワコードを、天井に
宣言通り。
夏休みの、最終日に。
そして、彼のワコードを入手した。
彼に言った言葉に、嘘は
特別な、
だって、彼には。
君に対する、
彼のワコードなんて、本当に、不必要だったんだ。
だって、あのモザイクの正体を突き止めてから、ただの一度も。
これでも、恋する女だよ?
君に悍ましい、情けない姿なんか晒したくない。
「ほら。
やっぱり、そうだ。
立派な『他者』……『意中の相手』だ」
だから、向こうでの
君が、
「ねぇ、
君が好きだ。
大っ好きだ。
その
だから……さっさと
こんな
そのまま
顔を引っ張り、頬スリスリし、香りを堪能し、胸を押し付ける。
「……むっひっひっひぃ。
分かってるんだぞ、
君は今頃、
君なら、
そして、とっとと
いつか、その秘話を、私にも共有しろぉ。
試行錯誤して、ジレンマに陥って、底無しに泥沼って、悶々しろぉ。
こんなサービス、
君が自発的に迫らないと、意味が無いから。
君は、
いつもみたいに、冗談認定して
「……なーんて、ね」
ここまで来て、自分すら騙してるなんて。
こんなにも、自分が。
「……
世は正に大リモート時代なのに、ここまで『受け身』だなんて。
普段、あんなにアクティブな
これ
自分すらも信じられない、愚者だから。
だから、君が信じさせてよ。
君を通して、私に、
「……信じてるよ、
君なら、
本物に、本人に、してくれるって。
彼が告白してくれる、現実世界を。
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