7-6

 友花里ゆかりさんの施してくれたステルス。

 そして、大穴としか言いようい隠れ場所。



 二つの相乗効果により。

 図書館は、極めて静かだった。



 無理もいだろう。

 こんな所に、今回の主賓が隠れてるだなんて。

 きっと、誰にも予想出来できない。

 


 もっとも。

 俺は、例外らしいけど。



 辺りは、まるで人気ひとけい。

 空気を読んだらしく、レイメイと友花里ゆかりさんも消えている。

 っても、ステルスは継続中だから、敵に悟られたり、見付かったりもしないけど。



「……」



 いや。

 もう一人だけ、た。

 


 彼女が控えてるとおぼしき一室の前で。

 その人は、立っていた。



 俺は、それを予測していた。

 むしろ、最初から当てにしていた。



 だって、マップに表示されていたから。

 本命の居所より、早く。

 


 向こうは、そうでもなかったようで。

 お手上げ、といったリアクションをしたあと、顔の横に右手を構え。



「行って来い」

 と、一言だけ添えた。



 深呼吸し、メンタルを整え、ネクタイを解き、ポケットにしまい。

 俺は、彼女とハイタッチをし。

 


「……行って来ます」



 そのドアを、開けた。



 長かった。

 ここに来るまで、中々どうしてハチャメチャだった。

 けど、『ニアカノ同盟』や『トッケン』、レイメイに後押しされ、支えられ。

 みんなの『内命ナイメイ』により、満塁に近い状態にはなった。

 あとは俺が、良くてホームラン、最悪の事態ヒットを当てるだけ。



 エースで4番の、彼女を相手に。



「……なん、で……」



 やっと。

 やっと、出会えた。

 やっと、見付けられた。



 ずっと探していた、夢にまで見た、想い人。

 彼女は、予期せぬ来訪者に、分かりやすく驚いていた。



 我ながら悪趣味だけど。

 俺は、少し楽しくなりつつ、ゆっくりとドアを締め。

 二人だけの空間で、彼女と向かい合った。



「……久し振り、だよね。

 こうして、図書館で、二人だけで会うのも。

 まぁ、ちょっと微妙だけどさ」



 質問に答えず苦笑いし、真顔に作り直し。

 俺は、彼女に告げる。



「……倒しむかえに来たよ。

 ヤラセでしかない前座は終わりだ。

 ここからは、俺と君の、一騎打ち。

 い加減、観念してもらおうか」



 閉じていた目を開け。

 俺は、彼女を睨む。



「ーー安灯あんどう結瑪凛ゆめり



 安灯あんどう 明歌黎あかりというアザターを生み出した張本人。

 安灯あんどう 明歌黎あかりの、本体に。

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