第5夜「レイメイ」
5-1
結論から言おう。
レイが
そう呼称する他
隅から隅まで、物で溢れ返っていた。
でも俺は、それを「ゴミ」などとは呼びたくなかった。
そんな
足場が
それでいて、なるべく音も立てないように意識しつつ。
少しずつ、彼女に近付き。
そっと。
俺は、レイに手を差し伸べた。
「レイ。
……助けに、来たよ」
声を掛けられ、ハッとするレイ。
「……ケート?
ぼんやりと
そこら中に無残に捨てられている自分の中から。
俺に会えるだけの
とどのつまり。
ここは部屋なんかじゃなく、だだっ広いクローゼットで。
辺り一面に放置されていたのは、ゴミなんかじゃなく。
余所行き用の、レイの姿だった。
簡単な
気持ちの断捨離が済んでないのは、メイだけじゃなかった。
それだけの話。
だって、そうだろ?
ここは、俺の『
一心同体の彼女達が、その影響を受けない
「
……
先んじて待ってるのが、
あなたから、攻めて来てるんじゃないわよっ!」
八つ当たりし、
けど、
「……見ないでよ。
こんな、ダサい
寒くもないのに腕を抑え、ガクガクと震え。
レイは、俺に訴える。
「違うの……。
ケートだって、知ってるでしょ……?
いつもは、
普段通りでさえいれば、ちゃんと着飾れるの……。
言い繕えるし、見繕えるの……。
ただ、今は、ちょっと調子悪いだけなので……。
こんな、
……見ないでよぉ……」
俺は、床に座り。
正面から、レイと向かい合い。
無言で、彼女を抱き締めた。
「……ダサくない。
ダサくなんか、ないよ、レイ。
だって、君は……こんなにも、俺の
俺の前で精一杯、輝こうとしてくれたじゃないか。
君は、
最初に、きちんとお目に
クール
つっけんどんな素行不良の
大事な
その
そんな、俺の残響。
夏休み最終日の、雷鳴。
俺の、『
「ケート……。
……あなた、まさか……!?」
「……
彼女と接する時に、決まって付き纏っていた、
彼女の頭を撫でつつ、俺は最大限のスマイルを提供する。
「それと、ごめん。
君をそこまで追い込んだのは、俺だ。
いつまでもハッキリせず。
時代とか、過去とか、トラウマとか、『
その気なんて、勘違いしてる節なんて、
しまいには、相手が
そんな、俺の脆弱さ、狭量の
……君だけが、悪い
届いて
轟いて
俺の気持ちの、
だってさ、レイ。
俺は、これでも君達に、感謝してるんだ。
君達のお
でもさ。
いつまでも、誰かにばっか頼っていられないんだよ。
そろそろ、俺も強くならなきゃなんだよ。
彼女が、この、倦怠期みたいなのを終わらせたのなら。
俺も、冷戦染みたやり取りから、卒業しなきゃなんだよ。
偽りだらけの
借りてるだけじゃ、足りないんだよ。
俺の決意を、汲み取ってくれたらしい。
部屋に無造作に置かれていたレイの側が、1か所に纏まり、一つとなり。
やがて、レイと融合した。
レイは、落ち着きを取り戻し。
軽く手を動かし、強気に
片腕を腰に当て、立ち上がり。
「……終わらせるのね。
この、宙ぶらりんな関係を」
「そうしなきゃ、始まらないんだ。
俺達の物語は」
「そうね。
でも、
まだ証拠不十分で、立件
「ああ。
だからこそ今、こうして現れてる。
他でもない、君の前に」
起き上がりながら、あっけらかんと答える。
レイは、やや目を見開いてから、堪らず吹き出した。
「あなた……。
意外と、肉食ね。
しかも、性悪」
「メイにも言われたよ。
でも、お誂え向きだろ?」
「ええ。
小生意気に笑うレイ。
そのまま、残り時間を確認し、俺に提案を持ち掛ける。
「まだ、猶予は
ちょっと付き合いなさい、ケート。
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