2-2
強敵、
かと思えば放課後、思わぬ伏兵、災難に見舞われる。
「
あんたが、
昨日、恐れ知らずにも、
いつもの
対する俺は、あからさまに不愉快な
普段の俺なら、こんな態度は示さない。
けど、今は例外だ。
俺と彼女の他に、この場には誰も
それに、本性を隠しているのは、お互い様だ。
そうでなければ、
「……断っておくけど。
昨日のは、単なる事故だ。
あんな
ギリ不運寄りの、偶発的なハプニング」
膝を組み、頬杖をつき、目線は意地でも合わせず、挑発的に返す。
「
クラスの連中は、微塵も疑ってない。
そもそも
あなたの妹君にも、言っといてくれ。
「喧嘩売ってるのか」
「買っただけだ。
最初に仕掛け、けしかけて来たのは、どこの転売ヤーだ?
エアプ厨、難癖、越権行為とは違う。
買った上で、気になって
それとも、
互いに喧嘩腰になる俺達。
俺なんて、普段は及び腰なタイプなのに。
「あんた……
さては、猫被りか」
「傲岸不遜なのはお互い様だ。
あなたの妹君だって、中々の曲者、屈折者だ。
付け足せば、『猫を被る』というのは、特に女性に対して使う表現だ。
分かったら、とっとと帰って日本語の勉強でもやり直すんだね。
これ以上、あなたの脆弱な語彙力を露呈し、
それとも、
ひょっとして、『日本人としての尊厳を
だったら、お相手するのも
しっ、しっと、意地悪く追い払ってみせる。
ここまでやれば、さしもの彼女も引くだろう。
そして日中、現実世界で
俺はまた夜、レイメイにだけ接していれば
という寸法だ。
願ったり叶ったりだ。
どうせ今は、リアルでまで関わり合いになんて、なりたくなかったし。
七面倒だし、巻き込まれる必要、ルートの
「あんた……どこまで
「一刻も早く、あなたが
「だったら、ご期待通りに退散してやる。
「これ以上、
これは、フリでも忠告でも、ましてや照れ隠しでもない。
紛れもない、忌憚
「それを
涙の海が枯れ果ててしまいそうだよ」
皮肉混じりに嫌味を飛ばすと、
どうやら、要件とやらは済んだらしい。
「……最後に、もう一つだけ、はっきりさせておく」
と思いきや、ドアノブを握りつつ、こちらを振り返らずに、
「あんまり、調子に乗るな。
あんたの言う通り、ただ互いの秘密を交わしただけ。
同情なんて、
あんたみたいに、自分しか
根性無しのピエロじゃない」
負け惜しみに近い
その足音が完全に捉えられなくなった頃、だらんと手を垂らし、俺は背凭れに身を預け、一息を
「どこまで策略家なんだよ……」
まさか、ここまで仕込み、仕組んで来るとは。
敵に回したくないし、あまつさえ味方にだって置いておきたくない。
頼むから、俺の平穏、平凡を壊さないで
避けられない、思いがけないトラブルとはいえ、どうして、あんな人種と交差してしまったのか。
……待てよ?
「っ!?」
はたと
案の
書き掛けの小説が、消えていた。
彼女のトケータイに、デジタライズされたのだ。
この部屋に、俺以外の住人は
そして、彼女の他に来訪者も
そもそも、見失ったタイミングから見て、
どう考えても、彼女の犯行だ。
「……マジかよぉ……」
ショックの
「ロック
一回で懲りろよ、俺ぇ……」
盗人にまで成り下がってしまった相手に、思う。
俺は間違い無く、彼女と出会うべきではなかったと。
そうじゃなきゃ、こんな苦労も気苦労も、しなくて済んだのに。
その上で、思うのだ。
とどの
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます