1-2
「にしても、『レイメイ』か」
着席し直し今一度、食事を堪能している途中で、唐突に口にする。
レイは、口に含んでいたチーズバーガーをコーラで流し込み、僕に尋ねる。
「
……
きっと『レイ』って名前も、『冷』から取ったに
間違っても自分の名前からではないんだろうなぁ。
などと考えていた俺は、失礼ながら、彼女は成績までは優れていなかったのを思い出した(だからこそ余計、親しみ
「『黎明』って言葉が
「ふーん。
つまり、『
さしずめ、そんな感じかしらね?
「だと、
「意地でも、そうするのよ。
「……お手柔らかに」
にしても、と思う。
フィクションだと、こういう手合いは決まって、もっと偉そうだったり、ドSだったり、暴力的だったりするものなのに。
まぁ、実際に、そんな
もしかしたら、単に子供っぽいだけなのかもしれない。
デフォな仏頂面も、実は反抗期めいた
そう考えたら、そういう態度まで途端に可愛く思えてならない。
「あ、ごめんなさい、ケート。
ちょっと待っていて
俺に
すると、それまでのアンニュイ、クールなオーラが消え去り。
「あははっ。
驚かせちゃって、ごめんね?
えと……『ケートくん』。
で、
レイだけじゃなく、私とも仲良くしてくれると
両手を合わせ、ウインクし、赤くなった頬を
そんな、あざとい仕草のオンパレードを、
突然、惜し
驚いた……。
記憶は、リアルタイムで共有、更新してるのか……。
余談だが、意外とスキンシップは少ない辺り、世渡り
「なーに変な
などと思っている
……メイと話せなかった。
あーでも、したらしたで、悶々とした夜を過ごすだろうし、これで
そう思う
「……
「聞きたい?
ふーん。
そんなに
もしくは、両方とか?
ケートってば、見かけによらず、情熱的、大胆なのねぇ。
好きよ? そういうの。
うふふ」
「そういう
「もぉ。
ノリの悪い人ねぇ。
胸に手を当て妖艶な仕草を意図的に振る舞ってから、レイは答える。
「簡単よ。
ケートと鉢合わせる前まで、記憶をリセットしたの。
で、単なる一クラスメートに逆戻りしたあなたに対して、
「……地味にでも
「細かい
あと、それ以外に、我慢
それより、仕切り直しましょう。
今日の、二人の出会いを祝して」
……この子、やっぱり器用だ。
その
そして
でも、まぁ……
俺が、彼女に求められたという事実(理由はどうあれ)。
そして俺が、彼女と親しくなれたという現状(経緯はどうあれ)。
それだけで、俺は満足だ。
少なくとも、今の内は。
「ケート?」
なるほど。
大なり小なり、振り回してる自覚は
益々、興味が湧いて来た。
「ごめん。
はい」
誤りつつ、俺もグラスを持つ。
それっぽい色と雰囲気だが、至って健全である。
なんて言うと、言い訳めいてる
「乾杯」
「乾杯」
互いのグラスを合わせ、奏でる二人。
そして俺達は、それぞれの好物を好きなだけ食べ始める。
「あー!
二人だけ、ズルーい!
私も、食べるー、乾杯するー!
はい、ケートくんっ。ウィーッス!」
と思いきや、
……ところで、乾杯の挨拶って、そんな感じだったっけ?
「う……ウイーッス」
真偽の程は定かではないが、
そう思い、
「元気が足りないっ!
もっと、アゲてこっ!
ほら、もっかい!
ウィーッス!」
「……ウイーッス!」
「『ウイ』じゃなくて、『ウィー』!
さぁ、もっかい!
ウィーッス!!」
「……っ!!
ウィーッス!!」
「まだまだ行っくよー♪
ウィー、スーゥッ!」
「ウィー、スーゥッ!」
「ウィッスッスー!」
「ウィッスッスー!」
「ウィスウィスウィスー!」
「ウィスウィスウィスー!
って、そろそろ
「あははっ♪
やっぱりケートくん、面白〜い♪
てか、思ってたよりノリ
「……」
もしかして……。
実は、メイの方が厄介だったり、する……?
そんな疑惑を抱いていたからか。
その後も
こうして、レイメイとの最初の夜は、どうにか終わり。
二人との
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