第56話

 楽しそうな子どもたちの声。

 それらを囲むようにたくさんいる大人たち。

 大人たちの口から漏れるのは不安げな声。

 当然だ。

 当然の話だ。

 中央の広場で楽しそうに遊んでいるロリっ子たちと一緒に遊んでいるのは太った中年のおっさんだったり、見た目が明らかに地味な陰キャだったり、若干呼吸がおかしく、欲情に染まった視線を向ける存在……。

 オタクたちだ。

 ロリっ子+オタク。

 犯罪の匂いしかしない。

「だ、大丈夫なの?」

 僕の隣にいる明日香と桜が不安げな声を上げる。

「デュフフフ。大丈夫でござるよ。明日香氏。デュフ、彼らの信念は『YESロリータNOTEタッチ!』でござるので」

 二人の疑問に自信満々に答える一人の男。

 太り、喋り方がおかしな男。

 THEオタク!

 いや、こんな絵に書いたようなオタク。いないだろ。って突っ込みたくなるような男だった。

 この男の名は山口 和也。『我が嫁のために心臓を捧げよ』のギルドマスターだ。

 僕達が来ているのはギルド『我が嫁のために心臓を捧げよ』だよ。

 限界オタクたちのたまり場。

 『我が嫁のために心臓を捧げよ』の精鋭部隊は今も異種族を求めてダンジョンをさまよっているが、休みを取っている人や、異種族よりロリっ子命!なんて言う奴らなんかはここでロリっ子たちの子守をしているのだ。

 普通の親ならこんな限界オタクたちに自分の可愛い子どもを預けたくはないだろう。

 しかし、この限界オタクたちは普通の限界オタクではない。

 最強の限界オタクたちである。

 遊びながらみんなを強くするという冒険者育成スクールみたいになっているのだ。

 この人たちは魔力の存在を知り、それの活用法を知っている。

 身体強化も、魔法も平然と使える。

 流石はオタク(?)というところだ。

 知識も、技術もここのギルドが世界最高峰だろう。

 故に当然、見かけ上は遊んでいるだが、確実にロリっ子たちの実力は伸びている。

 子供を冒険者にして活躍させようとする親は嫌々ながらここに連れてくるのだ。

 今や、冒険者の年俸は億超え。子どもたちが憧れる職業第一なのだ。

 だが、心配なのでわざわざここまで来て、みんないかがわしいことしないかどうかを監視してきているのだ。

 まぁ今の所みんなロリっ子たちに触っていないんだけど。

 見事なまでにみんながロリっ子と触れ合わないように立ち回っている。

 素晴らしい!

 僕はそんな彼らに感動する。

「YESロリータ!NOタッチ!」

 僕も中央でキャッキャぶひぶひ遊んでいるみんなのもとに向かう。

 僕も混ぜて!

 許可はすでに得ている!

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