第55話
「ふぅー」
久しぶりのダンジョン探索。
あまり動いていないけど色々と疲れた。
「なんであなたが一番疲れているのよ」
僕をからかうように明日香が笑う。
「一応僕が二人の体力もスタミナも回復させているからね」
「でも、自分の体力とスタミナを回復させているでしょ?」
「……まぁそうだね。久しぶりだからだよ!」
「へぇー。軟弱なのね」
……ムカつく。
圧倒的なステ差でねじ伏せてあげようか?
僕がそう思い、立ち上がった瞬間。
「出来たわよ。下らないことしていないで、手洗って席に付きなさい」
晩御飯の用意が出来たという桜の声が聞こえてきた。
「「はーい」」
僕と明日香は洗面所に向かう。
僕と明日香と桜は今、同棲中である。
政府から僕達三人用にと一軒家を渡されたのだ。
羨ましいだろ!
まぁ基本的に僕は家の書庫にこもっているから、二人と会話することなんてほとんどないんだけど。
いつもありがたいことに桜が書庫に食事を置いてくれるので呑気に引きこもり生活を送れる。
「今日の晩御飯はステーキよ。久しぶりに三人でダンジョンに行ったからね。その記念では今日は少し豪華よ」
「わー!美味しいそう」
「ね」
僕と明日香は料理が壊滅的なので、料理担当は桜が担当している。
その代わりとして僕が洗い物、洗濯、掃除を担当している。
え?明日香?
明日香は……家事が壊滅的だったんだよ……。
明日香が料理を作ればダークマターが産声を上げ、洗い物をすれば皿が消滅し、洗濯をすれば洗濯機が歌いだし、掃除をすればゴミ屋敷へと早変わり。
もはやわざと疑うレベルだ。
まぁ本人は至って真面目なそうだが。
こんなにも壊滅的なのによく弓なんか扱えるよな……。
あ。
ゴミ出しは明日香の担当か。
よかった。明日香は役に立たない子じゃなかった。
大丈夫だった。
よかった。
「「「いただきます」」」
僕と明日香と桜は手を合わせて声を揃える。
「「美味しい!」」
「それはよかった」
僕は桜が作ってくれた料理を美味しいいただく。
ステーキ美味しい。
良いお肉を使っているね?
異世界は文化レベルがこっちよりも劣っているため、料理が惜しい感じだから、こっちの料理にはいつも感激する。
「「ごちそうさまでした」」
「お粗末さまでした」
すぐに僕達は夕食を終える。
あの化け物だったり、僕を取り巻く色々な政治的な問題だったり。
色々なことがあるけど、僕達の時間は基本的に平和に、穏やかに流れていった。
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