第53話

「【嫉妬の権限:正典:封魔】」

 明日香がユニークスキル【嫉妬】を発動する。

 ユニークスキル【嫉妬】。

 ユニークスキルの中でも最強格のスキルである大罪系スキルの一つ。

 大罪系スキル持ちの人間はかなり少なく、異世界の歴史上を見ても3人しかいなかた。

 異世界にユニークスキル【強欲】持ちの女性がいたけど。

 びっくりするくらい強いのに戦うことに興味なく、魔王軍との戦いに一切関与してこなかった人だ。

 今の所異世界で確認されている大罪系スキルは、異世界の歴史上で確認されている【嫉妬】【憤怒】【色欲】の3つと、僕が元々持っていた【傲慢】と僕の知り合いの【強欲】だけ。

 今の所【怠惰】のユニークスキルは発見されていない。

 異世界では【怠惰】のユニークスキルが存在しているかどうかの議論がなされていた。

 まぁ、ここまでの6つがあるんなら、【怠惰】もありそうだけどね。

「【鉄壁】と【毒霧】と【再生】を封じたわ!」

「了解!」

 そんなユニークスキル【嫉妬】の効果はランダムで相手のスキルを3つ封じること。

 今戦っている毒カエルを大きくした魔物、ポイズンティタンフロッグなんかはスキル【鉄壁】と【再生】で耐えながらじわりわじわりスキル【毒霧】で相手のHPを削りつつ、巨体で押しつぶすという戦い方をするというのに、スキル【鉄壁】と【毒霧】と【再生】を封じられてしまったので、何も出来ずにボコボコにされていた。

 桜の刀で手足を切り飛ばされ、何も出来なくなったところを明日香の弓矢の巨大な的となってしまっていた。

 ちょっとあまりにも可哀想過ぎる。

 ユニークスキル【嫉妬】は固有スキルとユニークスキルを封じることは出来ないが、まぁ十分に驚異的である。

 こんなスキルを手にしているなんて知らなかった僕が明日香と模擬戦した時、【刀術】と【体術】と【多重結界】を封じられて危うく負けるかと思った。

 まぁあまり使わない魔法でゴリ押して勝ったんだけどね。

 この時は初めて負けるかも知れないと思った。

 いきなり刀の使い方も、体の使い方もわからなくなり、自身を守る結界がいきなり消えたんだからビビるよね。

「「イェーイ!」」

 ポイズンティタンフロッグをサンドバックにしていた明日香と桜がハイタッチする。

 ポイズンティタンフロッグは異世界で小国くらいなら滅ぼせると言われてくらいの魔物なのに。

 ……僕要らなくね?

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