第49話

 僕は覆う半透明の光の壁。

 慌てて攻撃して叩き割ろうとするも失敗する。流石に固い。

「ぐぉぉぉぉぉぉぉおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!」

 僕がもたついている間に次の魔法が発動される。

 全てを破壊し、貫かんばかりの大爆発。

 僕が閉じ込められた光の壁内で連鎖的に爆発が起こり、僕に確実にダメージを与えていく。

「やっ……!」


「ふー」

 僕は大きく息を吐く。

 爆発はいったいどれほど長く続いていただろうか。

 僕は多大なダメージを負った。

 出血したのも、回復魔法が間に合わなくなるのも久しぶりだよ。

 魔法が解かれ、僕の自由を奪っていた光の壁もなくなる。

「やめだぁ。全力で叩き潰してやるよ」

 回復魔法でごっそりと魔力を使ってしまい、このまま持久戦を続けていたら負けるのは僕だろう。

 なら全力でねじ伏せてやろうじゃないか。

「ふひっ」

 出し惜しみなし、安全策なしだよ!

「『汝は全て王を貫いた』」

 槍を取り出し、化け物の右腕に突き刺す。

「『大地の支柱よ。揺れ動け』」

 それをハンマーで思いっきり叩く。

 釘打ちの要領だ。

「ぐぁぁぁぁああああああああああああ!」

 両腕を振り回し、大暴れする化け物の右足を思いっきり蹴り飛ばす。

「……ッ!」

 転ばさることが目的だったのだが、ビクともしねぇ。

「『神刀』『冥刀』」

 二本の刀を取り出し、一気に間合いを詰める。

「しっ!」

 腕と刀が。

 鮮血が舞う。

 白と黒の閃光が舞い、剛腕が空間を震わせる。

「ぐっ!」

 化け物の剛腕が僕の腹をかする。

 それだけでごっそりと肉がえぐり飛ばされる。

「『ヒール』」

 回復魔法が有るから平気だが、一発でももらうとやばいな。

「ふぅー。はぁぁぁぁあああああああ!」

 僕は再度気合を入れ直し、二本の刀を振るう。

 速く。速く。速く。速く。速く。速くぅぅぅうううううう!

 

 力と技。

 究極のぶつかり合いの最後は呆気なく突然に。

 しかし必然に。

 神々の戦いの再現ととも言えるこの戦いが与える影響は大きい。

 壁に、床に、天井に、亀裂が走る。

 そして、崩れた。

 僕に向けて一つの大きな岩が落下してくる。

「ちっ」

 僕は一度引く。

 一度崩れるともう止まらない。

 がらがらと天井が崩れ、亀裂が更に深く、広がっていく。

 僕と化け物の分けるように岩が落ち、距離が離れていくのを感じる。

 化け物は僕に背を向け、どこかに走り去った。

「逃げるよ!正行!」

「あ、あぁ!」

 僕は正行を掴み、跳躍。

 ここに入ってきた場所に飛び込んだ。

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