最古の英雄譚〜魔王を倒した異世界帰りの勇者は現実世界で無双するそうですよ？〜

第48話

「ちっ！」

　僕は舌打ちを一つ。

「ぐほっ！」

「『全てを守りし神の盾よ』」

　僕は正行のお腹を蹴り飛ばし、その後正行を守るように神の盾を展開する。

「ふー」

　僕は息を大きく吐き、納刀。

　抜刀の構えをとる。

「ぐるるるるるる」

　化け物も低くうなりだし、しばらくの間にらみ合いが続く。

「ぐぁぁぁぁぁあああああああああああ！」

　先に沈黙を破ったのは化け物。

　勢いよく僕のほうへと突っ込んでくる。

「神風残響流抜刀術　暁」

　神速の抜刀術。

　無駄のない動きで引き抜かれた刀は確かに化け物の体を捉えた。

　しかし、切断し切るには至らない。

　途中で刀が止まってしまった。

「ちっ」

　僕は刀から手を離し、身を引く。

　僕の眼前を化け物の腕が通り抜ける。

　僕は再度自分の手に神刀を召喚する。

　化け物が自らの剛腕を振り、僕は刀を振るう。

　あぁ！かってぇ！

　僕の刀は化け物の剛腕を順調に切り裂いてはいるものの、全てが浅い。

　選びに選び抜いたつよつよの英雄たちの武器も並行して操り、攻撃を仕掛けてはいるものの、どれも無駄。

　魔法だって同じ。

　大した成果は得られない。

　本当に固すぎる。

　これは持久戦するしかないのかなぁ。

「はぁはぁ『ヒール』」

　魔力を削って体力を回復させる。

　魔法のおかげで息切れも収まる。

　あれからもう１時間。

　流石に疲れてくるし、魔力の残りも半分を切った。

　魔王戦よりも時間がかかっている。

　なんで、魔王よりも遥かに強い奴らがゴロゴロといやがるんだ。

　マジで意味がわからない。

　僕が化け物を切り裂いた数はいず知れず。

　あたりは化け物から吹き出た血で赤く染まり、僕もすっかり返り血で赤く染まってしまった。

　ったく。出血死しろや。

　どんだけ血を蓄えていやがるんだ。

　ずっと動きっぱなしなはずなのに、化け物は息一つ切らしたりしない。

　理不尽。

　今のところ一度もダメージを受けていないが、このまま疲れていったらどうなるかわからない。

　それに、魔力が亡くなってしまう可能性すらある。

　仕方無しに僕は使う魔法の数を減らす。

「ぐぅぉおおおおおおお」

「ん？」

　今ままでずっと暴れ続けていた化け物がピタリと足を止め、僕は首を傾げる。

「ぐぉぉぉぉぉぉぉおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお！」

　一番大きな咆哮を一つ。

　化け物から魔力が膨れ上がり、僕を叩く。

「『ぐぉ』」

　ダン！

　完全に油断していた化け物の魔法。

　使えやしないと油断して、何の対策もしていなかった魔法。

　僕はまんまと化け物の魔法を食らってしまった。

「封印魔法！？」