第38話

 日本。

 政治的な判断、決断は遅いと言うイメージがあるのだけど、こと今回のダンジョンに限って言えばその判断、決断は世界で一番早かった。

 まぁ正確に言うと、政府をガン無視して勝手にオタクたちがルールや仕組みを制定。

 それを政府が承認し、法令として公布した感じになっているんだけどね。

 まず、冒険者と冒険者ギルド。

 こればっかりは外せないと言わんばかりにいの一番に作られた仕組みだ。

 最初は全ての冒険者が一つの冒険者ギルドという大きな組織に属しているのかと思っていたんだが、違うようだった。

 冒険者たちは個人個人で集まり、ギルドを作ると行った感じだった。

 なので、日本にはたくさんのギルドがあり、それぞれのギルドが企業と契約を結んだり、一般市民からの依頼を受託するという感じになっていた。

 最初は大きな組織を作ろうとしていたらしいが、みんながまとまらず、もう面倒だから個人個人好きなギルド作って好きなギルドに加入しようぜ!ということになったらしい。

 後、幾度もラノベという聖典を読み、どんな状況にも対応できるようにシュミレーションを行っていたオタクたちは未成年が遊び感覚でダンジョンに入り、死傷者が出ることを非常に恐れていた。

 なので、勝手にダンジョンの入口を封鎖。

 未成年の入場を禁止し、未成年がダンジョンに入る場合は事前にギルドに研修をつけてもらうことが必須条件となった。

 成人が初めてダンジョンに入るときも簡易的な研修を設けている。

 ちなみにこれは勝手にオタクたちがやっていることだ。

 魔法を完璧に使いこなしていたオタクたちにとって封鎖など容易いことだった。

 それらの仕組みを政府が公認した形になった。

 ちなみに研修は国がやるべきだとして、研修を国の組織が対応するようにしたのだが、ギルドの人たちから優秀な人材の確保の妨げになると大ブーイング。

 なので未だに研修は国じゃなくて各個人で作られたギルドによって行われる。

 日本において有力なギルドというのは国に匹敵するほどの圧倒的な力を持っているらしい。

 日本において、有力なギルドは4つ。

 勇者と呼ばれる現在最強の冒険者である陽キャの男をギルドマスターとしたギルド『ブレイバーズ』

 エルフや獣耳っ子を追い求めてダンジョンに日夜潜り続ける陰キャオブ陰キャ、限界オタクたちの集まりであるギルド『我が嫁のために心臓を捧げよ』

 オタクたちの手によって作られ、陽キャ陰キャ問わず最も多くの冒険者を抱えるギルド『ディールークルム』

 女性たちだけで構成されていると居るという『ワルキューレ』

 この4つ。

 そして僕は今ブレイバーズのギルド本部に訪れていた。

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