第8話
「私達はこれから避難所となっている○○○小学校に行くのですが、ご一緒されますか?」
「はい!」
自衛隊の人たちの提案にお嬢さんは頷く。
「じゃあ僕も」
それに僕も同意する。
家族と決めていた避難所がちょうどそこなのだ。
「そうですか。では、ヘリの方にお乗りください」
「はい」
お嬢さんは自衛隊の人の指示に従い、ヘリに乗り込む。
「あ、僕は大丈夫」
「え?別に遠慮しなくてもいいですが……あ、もしかして何かやらなくてはならないことがお有りで?」
いや、一緒に行くって言ったよ?やらなきゃいけないものなんてないよ。もう忘れたんか。
まぁこれは僕が悪いけど。
「あ、いえ。そういうわけじゃないです。別に僕は飛べるのでわざわざ乗せてもらわなくてもヘリの隣を並走しているので」
というか、僕がヘリに乗ったりなんかしたら何かしらの事後が起きてしまう。
「あ、そうですか」
自衛隊員の人はなんか諦めたような顔をして頷く。
別に空を飛べる人なんて異世界だとそこそこいたぞ。
現実世界も異世界のようになってしまったのだから、現実世界の方にも空を飛べるようになる人がポコポコ出てくると思うよ。
「では、出発しますか」
お嬢さんと自衛隊の人たちがヘリに乗り込む。
そして高度を上げ始めた。
「『ほいさ』」
僕も魔法を発動させ、空に浮かび上がる。
僕たちは避難所に向かって進み始めた。
「よっ、ほっ、さっ」
それにしてもなんでさっきから鳥が僕に向かって突撃してくるんだ。
もう異常だぞ。
どんだけ鳥居るんだよ。
「な、何、あれ。なんかそういう魔法?」
ヘリに乗って僕のことを見ていたお嬢さんがポツリと呟く。
いや、これは魔法じゃないんだよ。
素なんだよ。
これが僕の日常なんだよ。
いやー、異世界でもこんなんだったなぁー。
懐かしい。
滅多に会うことはないと言われるドラゴンに毎回会うんだもんなー。
何度ドラゴンと戦い、殺されたことか。
「『ズドン』」
僕は空高くから僕めがけて降ってくる隕石を魔法でぶっ潰した。
「は!?」
「うーん。気持ちいい空だ」
しばしの間僕は現実世界で初めてと言える安全な空の旅を満喫した。
■■■■■
大型ショッピングモールから避難所までは一駅分くらいの距離しかないので、すぐに到着した。
自衛隊の人たちは色々とやらなくてはならないことがあるらしく僕とお嬢さんは避難所に来てすぐ自衛隊の人たちと別れた。
「すごかったわね」
「ん?そんなにヘリでの空の旅が良かったの?乗り心地はあまり良くなさそうだけど。まぁ、でもなかなかできる体験じゃないだろうね」
「いや違うわよ!」
「え?」
「鳥だったり隕石だったり明らかにおかしかったじゃない!」
「大丈夫大丈夫。いつものことだから」
「いつも……。あれが?」
「それで?お嬢さんはこれからどうする?」
「え?いや、まずは家族を探そうかな。家族で避難所はここにするって話していてここにいるはずだから」
「わかった。じゃあ僕も自分の家族探すことにするよ。じゃあね」
「えぇ、また」
僕はお嬢さんと別れ、家族を探すことになった。
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