第12話 クリスマスツリーには、荒事は御法度。


「アレアレクレクレだかなんだか知らねぇがなあ、こちとらマスターランクのサンタクロースなんだよぉおお!!生意気な口叩いてんじゃねえぞこのやろぉ!!」


「なんだそりゃ?!俺たちの名前はアレクサンドリアスだ!!ランクがどうこう言うなら、俺もマスターランクだぁっ!!」 


 チームメイトの追放とか言う身内ネタの最大ネタを公の場でやらかしたサンタクロースどもをぶん殴った俺は、そのまま盛大な殴り合いの大喧嘩をしでかした。

 良いぜ!来いよ!クソッタレども!売られた喧嘩は高く買ってやらあ!!

 そうして、とりあえず俺に喧嘩を売った奴の仲間っぽい奴らを手当たり次第に殴っていると、突如としてマグナムの乱射音と共に無数のゴム弾が俺たちに向けてばら撒かれた。

 雨霰と叩きつけられるゴム弾の数々に、流石に俺も殴るのをやめてその場を逃げ惑った。

 止めろよ!ゴム弾って、これ人を殺さないだけで、当たったらかなり痛いんだぞ!!

 そう思い、俺を撃った奴を見ると、そこには二丁のオートマチックマグナム拳銃を構えたエリーゼの姿があった。


「とりあえず落ち着いてください。それ以上暴れ回るんなら、ゴム弾ではなく、実弾を使います」


 そう言って、あくまでもマシンガンを構え続けるエリーゼは、いつもと変わらない冷静な態度だった。

 ただ、その目の据わり方から、その言葉の本気度が見てとれた。

 これはヤバいな。ここは大人しくしとこう。

 だがまぁ、俺以外にもゴム弾に撃たれてたやつはいるわけで、先程エリーゼに、なんだっけ?ガラガラ・エーヤン?って言われた男は怒りを剥き出しにして睨みつけた。


「フザケンナ!冗談にしても笑えねぇぞ!大体、ゴム弾だって悪戯ですまねぇんだぞ!このクソガキ」

 

 ガラガラくんがそう言うと同時に、エリーゼはゴム弾の詰まったマガジンをガラガラくんに向けて撃ち尽くした。

 そうして、床にうずくまるガラガラくんを見下ろすとともに、エリーゼはマガジンを取り替えながら静かに、あくまでも静かに言う。


「別に殺さなければ何をしても良いでしょう?両手足をぶち抜いて、動けないようにすれば良いわけですし。ご所望なら、今すぐ両手足を吹き飛ばしましょうか?」


 そう言うと同時に、マガジンの装填を終えたエリーゼはあくまでも冷静に、マグナム拳銃の銃口を俺たち二人に向けた。


「一つ教えておきましょう。トナカイとは元々は医療機器でした。脳波によって動く機械式の義手や義足その発祥です。そしてここには、トナカイを扱う技術者も、その材料も腐るほどある。ここでなら、手足の五、六本はどうなっても問題ないのです」


 手足はそれぞれ二本ずつだろ、と言ってやりたいが、こいつはそれを言ったらすかさず「問題ありません。手足をもぎ取った後にもう一度くっつけます。それを二回か三回繰り返せば数は合います。それとも、先に手足を五、六本付けておいて、全部もぎ取られるのが好みですか?」とか言って銃をその場で乱射するやつた。

 つか、一回実際に言われて、やられかけた。

 頭のイカれっぷりだけなら、掛け値無しに世界で一番だと言える女だ。絶対にキレさせてはいけない。


「じょ、冗談だろ……。流石に実銃構えながらだと笑えねぇぞ……?」


「そもそも冗談やギャグで実銃を持ち出すと思いますか?お望みなら、宣言通りに手足をもぎ取りましょうか?」


 あー……。この調子だと、さっきマガジン装填した時にゴム弾じゃなくて実弾に入れ替えたな。ガチじゃん。

 すると、据わった目で静かに銃口を向け続けるエリーゼに、ガラガラくんも流石にヤバいものを感じたのだろう。冷や汗を垂らしながら、わずかにその手が震えているのが見てとれた。

 俺はそんなガラガラくんを見て、その服の裾を引っ張り、怪訝な顔で振り返った彼に首を横に振って見せた。

 やめとけ。こいつは、マジだぞ?

 どうやら、俺のアイコンタクトは無事に彼に伝わってたらしい。

 ガラガラくんは、そそくさと俺の隣に正座で座り込むと、深々と頭を下げた。


「……あの、その、すみませんでした。調子に乗ってました。申し訳ありませんでした」


「私の誠意が伝わってくれて嬉しいです。とりあえず、私たちの側も謝罪します。私も緊急とは言え、少し危ないことをしました。後、そこのバカがした事に関しては陳謝します。何かしらの問題が生じたのなら、全てこちら側で責任を持ちましょう」


 俺よりアンタの方が、やばいことしでかしたと思うんだけどね。まぁ、冷静に考えると俺もだいぶ暴れたし、どっちもどっちか。

 そう言うことで、エリーゼの横暴と無理やりの解決法によって、この場で話は終わることになった。


 …………はずだった。





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