第12話

 アンサンブルコンテスト当日。

 僕たちはステージに上がった。ステージから見る景色は、暗さの中に人間の気が感じられ、吸い込まれそうな気分になる。

 演奏が始まる。僕たちの音色には鬼気迫るものがあった。

 辻のソロが始まった。

 彼の動きは激しかった。まるでたった今生まれ落ちた白竜の如く躍動していた。

 僕は意識的に、彼から目線を外した。

 僕は楽器を叩いた。彼と調和していると信じながら。

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アンサンブル せいや @mc-mant-sas

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