第2話 再来幼女
スーパーで大量に食材を買い込み家についた。まるで大家族を持つお母さんの気分だ。ふぅ、と息を吐き冷凍庫に入れるものや生物を優先的に冷蔵庫の中へ入れていく。
それから缶詰やお菓子。羽織ちゃんは冷蔵庫だけではなく戸棚に入れてあった食材も食べ尽くしていた。・・・一体身体のどこに収めたのか。
ぐう・・・、と自身の腹の音が鳴る。そういえば朝からなにも食べていない。
「ちょっと遅いけど朝ご飯作ろうかなぁ。」
トーストに目玉焼き、ソーセージにサラダを作りテーブルに置く。
1人でも手を合わせて『いただきます』は欠かさない。
さて、手を合わせて、といただきますの「い」を言おうとした時にピンポーンとインターホンが鳴り響く。
宅配便、かな?とドアモニターを確認するが姿を確認できない。
え?なにこれピンポンダッシュ?
やれやれと思いながら席に戻った所でまたピンポーンとインターホンが鳴る。
「どこの悪戯っ子なんだ一体・・・。」
ドアモニターを確認するがやはり姿は見えない。・・・が、ドンドンと扉を叩く音はする。
ぞくり、悪寒。
なんだかとても嫌な予感がする。
恐る恐る扉を開けにいく。
大体の(いやな)予想がついたので視線はやや下の方。
「ただいまー。」
「ただいまじゃないよ羽織ちゃん。」
そこにいたのは顔中を米粒まるけにした羽織ちゃんだった。片手を上げ、反対の手にはパンを持って齧っている。
彼女はそのまま家に上がりリビングの椅子に向かっていく。朝食を食べられては敵わないので俺はやや早足で先にリビングに向かい朝食側が置いてある椅子へ腰掛けた。
大人気ない?そんな言葉を言うなら家中の食材を食われてからにしてほしいね。
「羽織ちゃん警察署に行ったじゃん、なんで戻ってきたの?!」
「んーあのねぇ、ご飯不味かったの。あれが臭い飯というやつなんだな。」
「それはちょっと違うと思うんだけども・・・。」
「それでも一旦警察署内の食糧全部食べてみたんだけど、やっぱり美味しくなくてーそれで帰ってきたの。」
「・・・警察の人は?」
「すり抜けてきた〜てか頼むから帰ってくれって懇願されたよ。」
全国の警察の皆様いつも我々市民の平和を守ってくださり誠にありがとうございます。本当にいつもご苦労様でございます。えぇ、えぇ、特に今まで俺自身は警察の御厄介にななったのは自転車パクられた時に届け出出した時くらいなんですけど、その時はそれはそれは御丁寧に対応してくださって。
・・・けれど今だけは言わせてください。
無能警察ッッッッ!!!!!!!!!!!!
頼むから帰ってくれじゃないよ!!なんとかしてよ!
俺は激しく頭を抱えた。
何故か懐かれてしまった俺がこの子を親元(?)に返すしかないのだろう。幸い今日はなにも予定はないし・・・。
<オペレーション:母を尋ねて三千里>を行うしかない。
まずは情報収集かな。
「羽織ちゃんは、どういうところから来たのかな?」
朝ごはんを食べつつ羽織ちゃんに質問する。
「んー?なんかねー医者のいっぱいいるところだよー。」
・・・病院じゃん!!だいぶアテは絞れたぞこれ!
でも、ということは羽織ちゃんはなにかの病気なのかな?
「羽織ちゃん、は・・・なにか病気なのかな。」
「しらなーい。でも沢山点滴されたり採血されたりしたよ。あとご飯は美味しくない。」
「病院食だもんね・・・?」
見た感じ元気そうだけど深刻な病気なのかな。もしかしたら羽織ちゃんがこれだけ沢山食べるのは病気のせい?
・・・彼女は只管南に向かってここまで歩いてきたと言っていた、ということは北側にある病院。更に沢山医者がいるということは比較的大きな病院だ。
これらの情報を統合して、マップ検索を行う。
「聖ノエラ大学附属病院じゃないか・・・。」
それはうちの高校の系列病院だった。
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