落×雷④
―――つまりどういうことなんだ?
―――やっぱり二人は本当に入れ替わっているっていうことでいいのか?
「蓮くん? どうかした?」
「あぁ、いや・・・。 おう、そうだな」
もし本当に入れ替わっているのなら、心泉を疑ったことに罪悪感を抱いてしまう。 心泉が何となく不安気に手を触れてきたため、その手を握り病院へと向かった。
「じゃあ行こうか」
スマートフォンを持っているついでに友人の嵐(アラシ)にも連絡を入れた。
―――病院に着けば全てが明らかになる。
病院の敷地に足を踏み入れるところで流石に繋いでいた手を離す。
―――入れ替わっていないとすると色々と納得はできるんだよなー。
―――だって医者や友達や家族は何も違和感を抱かなかったんだろ?
―――だったら俺だけが騙されている可能性・・・。
―――流石に医者がグルになっているなんてことはあるはずがない。
―――もし入れ替わっていなかったら涼風と付き合っていることが事実になるから、あまり考えたくないし・・・。
「あ、蓮くん!」
向かっている途中でクラスメイトと会った。
「もう私たちは帰るけど、あとはよろしくね」
「あぁ。 心泉さんは大丈夫だったか?」
「元気そうだよ」
「変わったこととかは?」
「うん? 特になかったけど・・・。 それより隣にいる子は?」
そう言って連の隣にいる彼女を見る。
「あー、俺の幼馴染」
「へぇー。 滅茶苦茶可愛い子じゃん!」
「冷やかしはよしてくれよ。 じゃあ行くから」
―――特に違和感はなしか。
―――じゃあやっぱり入れ替わっていない可能性が・・・?
混乱したままクラスメイトと別れ病室へと着いた。
「入るぞー。 もう大丈夫なのか?」
「・・・え?」
一応尋ねてみるがそれ以上に涼風であるはずの彼女は驚いてみせた。
―――・・・驚いた?
その理由は蓮の横に立つ自分の姿を見たからなのだろう。
「一週間以上眠ったままだったんだよ。 涼風ちゃん」
蓮の横に立つ心泉の言葉に困惑している。
―――それも無理もない。
―――自分の姿をした相手に自分の名前を呼ばれているんだから・・・。
―――ということはつまり?
ベッドの上に座る彼女は困惑していた。
「・・・これはどういうこと?」
その反応を見て考える。
―――つまり二人は本当に入れ替わっているのか?
やはり現実的に二人は入れ替わっていないのではないかと思っていた。 だがどうもそうではないらしい。 彼女は先程まで確かに眠っていたはずのため、共謀することも不可能だ。
病院へと向かう途中も手を繋いでいたため、心泉がスマートフォンを操作して連絡を取ったりということはない。
「ちょっと待ってね」
蓮の隣のにいた心泉はバッグから手鏡を取り出し涼風に手渡した。
「雷に打たれて私たちの外見が入れ替わってしまったみたいなの」
「え!?」
「それで私たち付き合うことになって」
「ごめん、ちょっと意味が分からないんだけど? 一体何が起きてそうなったの・・・?」
衝撃的な事実を次々と話され困惑しているようだ。 病み上がりであるからか普段より活気がなく見える。 もっとも見た目が心泉なため、普段通りに見えるとも言えるのだが。
涼風が見上げるように視線を向けてくる。
「あぁ。 俺はずっと気持ちを伝えようと思っていたんだけど、二人が倒れたことで焦っちゃって、後悔しないために告白するしかないと決めたんだ」
ベッドの上の彼女は複雑そうな表情を見せる。
「・・・外見はウチのままだけどいいの?」
一人称が“ウチ”で涼風そのままだと思い少し安心した。
「構わない。 俺は心泉さんの中身が好きだったから」
「・・・そう」
何となく歯切れが悪い気がした。
―――何か気に障るようなことでも言ったか?
―――ともあれ、二人が入れ替わっているというのは本当のようだな・・・。
―――さてこれからどうしたものか。
これで二人が本当に入れ替わっているのだと確定した。 もし入れ替わっていたことが嘘なら、起きたばかりの心泉が否定しているはずなのだ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます