第2話 仮面ライダー

 私は、仮面ライダーが大好きです。しかも昭和ライダー派です。


 石ノ森章太郎先生の原作はもちろん、変身ベルトやフィギュアは遠出までして古いおもちゃ屋まで買いに行き、学生の頃からアルバイトでお金を貯め、いずれは住む家とは別に、都内のタワーマンションに仮面ライダーだけの部屋を買おうとしていた程です。


 ある日、学生時代の後輩がお芝居をするというので観に行きました。


 その舞台で、なんと大きな仮面ライダーのフィギュアが出てきたです。


 しかもそれはUFOキャッチャーでしか手に入らないものでした。


 私は、「あ!」と、シリアスなシーンであったのにも関わらず思わず声を出してしまいました。


 舞台終了後、後輩には気づかれていました。


 彼は「先輩らしくていいですよ」と、笑ってくれたのですが、本当に恥ずかしくて顔から火が出そうでした。


 それでも高鳴る気持ちを抑えられず思わず「すぐ返すから見せて!」と、伝えると彼は

「これは舞台の小道具ですから。」と、言ってきました。


 そして「ちょっと待ってて下さい。」と彼が裏方へ行ってしまいました。


 意地悪だなぁ、なんて思っていたら戻ってきた彼は自分の鞄を持っていました。


「先輩が今日観に来てくれるって言ってくれたから。嬉しかったんですよ。だから小道具じゃなくて……。」


 彼は鞄の中からなんと箱に入った同じ仮面ライダーのフィギュアを取り出しました。


「先輩には、本当にお世話になったので小道具じゃなくて、ちゃんとプレゼントとして準備しといたんすよ!」


 粋すぎるサプライズに思わず、彼に恋をしてしまう所でした。

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