衝動

 自傷行為をやりたくて仕方がなくて体が震えている。

 原因は睡眠不足?栄養不足?タスクの状況?人間関係?


 確かにそれほど断続的に寝てはいないけど眠れやしないし。

 食べてはいるけど気持ちが悪くて吐いてしまうし。

 できなくはないけどやりたくもないタスクが溜まりに溜まっているし。

 よく知らない、仲良くもなろうと思っていない人からマメに連絡が来てるし。


 いや、今回は割とがんばったほうなのだ。

 ずっと自傷行為をやりたいとは思っていたけど、1週間ほど耐えていたのだ。

 ただ、それの反動が大きすぎて今の状況に至ってしまった。




 自傷行為の代替行為の効き目は経験上なかなかよろしくないことを知っている。

 気を落ち着かせようとしてもやっぱり自傷行為という感情には勝てなかったし、

 ゴムを引っ張って腕に当てる方法についてはあの痛みが嫌いだからやらなかったし、

 腕に氷を当てる方法はそもそも冷蔵庫までいくのがめんどくさかったし、

 腕に赤ペンを塗って切った気にさせる作戦も本物のように見えなくて詰んでしまった。


 結局本物に勝てないから、手首や手の平は切っちゃうし、腕は殴っちゃうし、髪は引っ張るし、吐いた時にできる左手の赤い斑点はなかなか消えないし、適当につけたひっかき傷は残ったり残らなかったりする。


 わかってる、自傷行為がダメな行為なんて知っている。

 知っている人が見たら引くかむげに心配されるだろうし。

 以前親に話した時は泣かれたし、

 保健室の先生には、カウンセラーの先生には――あれ、どうだったっけ?

 忘れてしまった。

 

 

 自傷行為をやめたい、とは思っている。

 でもやめたくない、やめられない。

 自傷行為をやめた自分が想像できない。

 自傷行為をやめた状態で生きられる気がしない。


 あーあ。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る