編集済
微力ながら私も、ない頭をひねってみました。何かの参考になれば幸いのかぎりです。
また、説明の便宜上、亜逢さまのコメントを複製しました。この場を借りて、亜逢さまに謝罪いたします。
※
さて、メインの物語が、一休と遊女のお話であるとすると、蓮如は要らない子になってしまいそうです。ただ、わらさんの設定を読みますに、これだけですと、物語がうまく完成しなさそうです。どうやら、一休と蓮如の後日談が、本当の終着点のようですね。
私も、亜逢さまと同じように、「一休の過去そのものでいんじゃね?」と、そう思いましたが、終着点が後日談である以上、「エピローグに蓮如を出して、過去語りでした」とするやり方ですと、蓮如の登場が後出しジャンケンのようで、微妙な感じになりそうです。端的に言えば、ネムードキャラの意味があるのか……という感じになってしまいそうです。これならばいっそ、モブキャラ相手に語っているほうが、固有名詞を増やさなくていいぶん、話が簡単になることでしょう。したがって、物語の序盤から、一休の過去をはじめるという構成には――後日談が終着点であるうちは、個人的には賛成できません。
前置きが長くなりましたが、蓮如を序盤から出しつつ、できるだけ読者に二度の幕開けを、感じさせないやり方を考えてみました。
それは、場面を現在に固定したまま、一休の過去語りではじめるという方法です。わらさんの、本編の番号とは異なりますので、漢数字を用いて、具体的な内容を話したいと思います。
一、一休のお話(遊女ほか)
ここでは、メインストーリーとは異なる、廓関係の話をします。これは架空のもので大丈夫です。架空の話であれば、好きなだけ脚色ができることでしょう。したがって、動きのあるシーンも、わらさんの思いのままとなります。
場面については、下記の「二」と同じが望ましいでしょう(読者に二度の幕開けを感じさせないため)。
二、一休の話を蓮如が聞いている
わらさんは、きっと、二人のかけあいを描きたいのでしょうから、二人に酒でも飲ませながら、好きなようにしゃべらせてください。小僧は要らない子の気がしましたので、考えていません(ごめんなさい)。
「一」にもつながりますが、ここでは場面を過去には飛ばさず、現在の時間で、一休の過去を聞いている形にします。つまり、次のような形です。
蓮如「それで、一休殿はそのときどうしたんですか?」
一休が酒を飲む。
一休「ああ、だからわしは言ってやったのさ――」
こうして、話に一区切りをつけたあと、蓮如がさらに一休に話をせがみますが、一休はそれを断ります。そこですかさず、蓮如は一休に、「親鸞聖人の黒漆木像」の話を持ち出します。痛いところを突かれた形の一休は、しぶしぶ遊女の話をするのです(親鸞聖人の御影でない理由は、こちらは最後に登場させようと思いました)。
三、メインストーリー(場面は過去)
「一」では、すでに遊女関係の話をしてあるので、読者へ大きな負担を課すことなく、物語を始められることでしょう。必要であれば、ここで使うものを事前に、「一」で提示しておくことができると思います。
また、主人公たる一休の人となりも、「一」で示せることかと思います。
四、後日談(場面は現在)
わらさんのお好きなように、物語を畳みください。
参考までに、私はここで、親鸞聖人の御影を使おうかと思いました。
蓮如「面白いお話でした。ところで、一休殿は本日は何用で?」
一休「そうじゃった。お主に親鸞聖人の御影をもらおうと……」
蓮如「かまいませんが、では、また別のお話をしてください」
一休「仕方ないのう……。あれは――」
という感じに、作品の全体像を、一貫して、一休の過去語りにするのはどうでしょう? メインストーリを、二つの過去語りでサンドイッチすれば、テーマとしては大きくぶれなくていいのかなと、そう思いました。
毎度、コメントが長くてすみません……。少しでも作品の材料になることを、願っています。
作者からの返信
御咲花 すゆ花 さま
いつも応援コメを賜り、ありがとうございます。
また、貴重なご教示を賜りましたこと、重ねて御礼申し上げます。
>作品の全体像を、一貫して、一休の過去語りにするのはどうでしょう? メインストーリを、二つの過去語りでサンドイッチすれば、テーマとしては大きくぶれなくていいのかなと、そう思いました。
メインストーリーを過去語りでサンドイッチというのは興味深い構成で、参考になります。
一休と蓮如との掛け合いで、どうしても入れたいエピソードがいくつかあって、①一休が阿弥陀如来像を枕に寝ているところへ蓮如が現れたシーン、②親鸞聖人の御影を強請るシーン、そしてネタバレになりますが最後に③一休が臨済宗から浄土真宗に改宗するエピソードです。
②は、③への伏線になります。
ちなみにメインに据えようとしているお話は、KACで書いた『草叢の白骨に一輪のお花を供えましょう』を一休と遊女地獄太夫の視点から描いたものを考えていました。
よく考えると、全く異なるふたつのエピソードをひとつにまとめようという、なかなかムリゲーな話(笑)
構成を工夫して何とか繋げられないか、と日々検討しております。
今後とも、拙作をご高覧頂ければ幸いです。
同じ内容を二度読ませてよいのだろうか?
と、言う悩みのように思いました。
もし私がこのように悩んだのでしたら、本編には蓮如を全く出さずに、一休を主人公とした話にします。
一休の過去語りでなくて、一休の過去そのものにしてしまいます。
そして、エピローグに蓮如を出して、過去語りでしたと印象付けます。
あと、良いオープニングの条件です。
③は、対立などで読み手の気を引きなさいと言っているような気がしますので、気を引かせればとりあえずOKであるような気がします。
面白い話をするぞと言っていたと思いますので、気を引くという点においては、それほど外していないと思いました。
④の動きですが、読み手としての私も動きがあった方が入りやすいように思います。ですが、歴史小説の合戦物、戦記物であれば、私もそれを大いに望みますが、僧侶の話なのであまり気にしなくてもよい気がします。
前回読んだように、ムードに酔わせて読み手を引き付ける方式でもよいと思います。
もし、私が書き手であり、どうしても動きを入れなたくなったとしたら、遊郭での動きのある印象的なエピソードを、一休が蓮如への掴みとしてプロローグで語らせて、蓮如が卒倒する? とかといった描写を入れて、蓮如に「始めから教えろよ」などと言わせてから、第一話に入るというやり方にするでしょうか?
私はわら様ほど書き方を勉強しておりません。
そんな素人の個人的な意見なので、あまり参考にならないかも知れません。
ただ、感じたことを書かせていただきました。
作者からの返信
亜逢 愛 さま
いつも応援コメを賜り、ありがとうございます。
また、貴重なご教示を賜りましたこと、重ねて御礼申し上げます。
今後の執筆に大変参考になりました。
>一休の過去そのものにしてしまいます。そして、エピローグに蓮如を出して、過去語りでしたと印象付けます。
プロローグを置かない構成にするとすれば、まさに亜逢さんの仰るかたちになると思います。候補の一つですね。
作中の③④のポイントに関するご意見ありがとうございます。
ちょっと「掴み」の弱いカンジが気になっていて、もう少しぶっ飛んだインパクトが欲しいと思っているのです。なんいうか、「一休または二人に釘付け」になるようなカンジのモノです。
>遊郭での動きのある印象的なエピソードを、一休が蓮如への掴みとしてプロローグで語らせて、蓮如が卒倒する?
うーん。遊郭での動きのある印象的なエピソードですか……。
じつは、遊郭でのお話には「元ネタ」があります。それを使うとすると、
①一休が遊郭で羅漢舞を踊った。一休の周りに骸骨が現れて、一休と一緒に歌ったり踊ったり。
②お酒を飲み過ぎた一休が、池に✨✨を滝のようにぶちまけ、それが鯉になった(笑)
草稿段階では、前回のプロローグに①の羅漢舞の描写を入れていたんですが、よく考えると、羅漢舞? なにソレ? なのでやめました。
そうすると、
……え? ②? ②入れちゃう?(笑)
ご意見・ご感想を念頭に検討してみたいと思います。
今後とも、拙作をご高覧頂ければ幸いです。
なるほど、これはわかりやすい解説です。納得しました(^_^)
作者からの返信
上野文 さま
いつも応援コメを賜り、ありがとうございます。
今回の話は、私の中で「ワイランド・ショック」と呼んでいるものです(笑)
「アノン」でもプロローグを書いてしまいましたからね。
K.M.ワイランド『ストラクチャーから書く小説再入門』(フィルムアート社、2014年)49頁以下の記述を読んだ時の衝撃は大きく、いったん全消しして出直そうかと考えたほどです。
ええ。小説には、プロローグを入れなければならないものだと思い込んでました。エピローグも。
最近は、プロットを作成する際、こうした本を「教科書」代わりに参照しています。
引き続き、ご笑覧いただければ幸いです。