第5.5話 君なら(ヴァルト視点)

「……僕、わかった気がします」


 蛇を解いているあいつを見ていると、カーバンクルが隣にやってきた。


「何がだ」


「彼女が、何故あのようなオーラを出せるのか。動物が好きだからではない。この世界の全ての生き物に対する優しさ。それがオーラの形となって現れたんです。あんな優しい人は、初めて見ました……」


「……ああ」


 オルトロスのために泣く奴なんて、初めて会った。

 幻獣でもあるが、どちらかというと怪物に近い。

 俺ですら一瞬、足がすくんだくらいだ。

 そんな生き物なのに、涙し、心配し、そして自分も心配される。


 心を通わせられる。


 こいつなら、本当にできるかもしれない。


 幻獣も魔獣も、悪魔も妖精も、共に安心して暮らせる場所を造る事が。

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