森の中編

第1話 転移

 俺は目を覚ました。ずいぶん長く眠った感覚があり、体全体が心地よく痺れている。



「知らない天井だ」



 そんなラノベで定番であるセリフを口にしながら、俺は身体を起こし周りを見渡した。

 寝ていたベッドの周りを見渡すが、キングサイズくらい大きなベッドで寝ていたようで、その周りには机と椅子、机の上にはペンとスタンドライトが置いてあるだけだった。


 カーテンの隙間から明るい日差しが差し込んでくるのを確認した俺は、カーテンの前まで移動し両手で掴んで一気に開いた。


 すると窓越しから太陽の光が私の部屋に降り注ぎ、薄暗かった部屋を一気に明るくさせてきた。

 眩しく両目を塞いでしまうほど強く照り付ける太陽は、寝ぼけていた俺を一瞬で覚醒させるには十分なほどだ。



「あぁ、綺麗だ。」



 窓越しに見える生き生きとした木々とその間を流れる小川をみて、俺は小さく呟いた。俺はカギを開け窓をゆっくり開けると、心地よい風が滑り込むように入ってきた。窓から顔を出し空を見上げると、くも1つない青い空が広がっていた。



 急に背後から物音がし、窓を閉め室内を見渡すと、机の上に先ほどまでなかった手紙が1通置いてあった。俺は机の前に移動し、手紙を手に取り表面と裏面を交互に見たが、宛名や差し出し人などの情報は見当たらなかった。封筒を破らないように丁寧に封蝋をあけ、手紙を取り出し、ゆっくりと読み上げた。



「 修吾さん。


 無事『アルガンテ』へ転移できたようですね。おめでとうございます。


 今修吾さんがいる場所は、『終わりの森』と呼ばれる森で、一番近い国からは200Kmほど離れています。強いモンスターもたくさんいるので、そうそう人は立ち寄りませんのでご安心を♪ あと修吾さんが今いる家を中心に半径100mはモンスター達は入ってこれないように結界を張っていますので安心して過ごしてください♪


 この世界について少しお話させていただきますね。まず日時や曜日については『地球』とまったく同じと考えてください。1日=24時間、1週間=7日間、1年間=12か月となっています。続いてお金についてですが、銅貨(=100円)、銀貨、大銀貨、金貨、大金貨、白金貨、黒金貨があります。銅貨10枚で銀貨1枚、銀貨10枚で大銀貨1枚、大銀貨10枚で金貨1枚...あとも同じ要領になってます。


 最後に能力の確認方法について教えますね♪ これはすごく簡単で、【ステータス】と呟いたら、自分の能力を確認できるので試してみてください。


 最後に私との連絡方法は2つあります。1つ目は、ステータス画面からメールを飛ばすことができます。2つ目、教会で祈れば直接お会いすることができます。


 何か聞きたいことがあれば遠慮なく連絡くださいね~。


 修吾さんの異世界生活が幸せであること祈ってます♪


 ウェヌス 」




 俺はゆっくり手紙を閉じ、机の上に置いた。後ろのベッドに腰を掛け、頭の中を整理することにした。




(なるほど。基本時間の経過などは『地球』と同じようだな。


 お金は整理すると、


 銅貨1枚=100円


 銀貨1枚=1,000円


 大銀貨1枚=10,000円


 金貨1枚=100,000円


 大金貨1枚=1,000,000円


 白金貨1枚=10,000,000円


 黒金貨1枚=100,000,000円


 こんな感じかな。1億円の通貨とかあるのかよ。異世界すげ~な。


 あとはこの家の安全性も理解できたし、本当に良い女神に出会えたな。だが1つ気になることを言えば、なんでステータス画面でメール飛ばせるのに、手書きで書いたんだろうな。(笑)

 さっそく能力を確認してみるか。)




「【ステータス】」


 目の前に半透明の画面が現れた。


 ステータス


【名前】シュウゴ

【種族】人間族 【性別】男性 【年齢】18歳

【称号】女神ウェヌスの使徒 転移者

【レベル】1

【体力】250/250

【魔力】∞/∞

【魔法】

  創造魔法Lv.10

【スキル】

  鑑定Lv.10

【加護】

  女神ウェヌスの加護.Lv.10


「......」


 俺はいつの間にか神の使徒になっていたようだ。少しの間放心状態になった。


「はぁ、情報量が多すぎてなんか疲れたな。」


 そう小さく呟くと俺はベッドに横になり、再び目を瞑り寝るのであった。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る