プロローグ2

「ん?......どこだ......ここ...?」


 目を覚ました俺は、360度真っ白い広々とした空間にいた。

(確か俺は終電に乗って...あれ?そこからの記憶がないな......)

 ただ1つだけ気づいたことといえば、体の怠さや眠気などがまったくなくなっていた。


 修吾が様々なことを考えていると、目の前の空間が渦のように歪みだし、そこから1人の女性が現れた。

 その女性は長い銀髪で20代前半くらいの綺麗な女性であった。


「はじめまして、修吾さん♪ 私はウェヌスと申します。職業は異世界『アルガンテ』を管理している神様です♪ よろしくお願いしますね♪」

 とゆったりとした優しげな声が修吾の耳に届いた。

 俺は突然のことに驚き固まってしまったが、すぐに復活し状況を整理することにした。


(これは、あれだな。ラノベとかでよく読んでいた、異世界転生によく似ているな。ん? ってことは、俺は死んだのか?)


 と様々なことを考えていると


「はい、残念ながら修吾さんはお亡くなりになりました。死因はストレスと過労だったようです。」


 と彼女は寂しげな声で呟いた。


(はぁ~過労か。確かにここ2週間無理してたもんな。てか、彼女は俺の考えていることとか読み取れるのか!?)


 修吾は過労の原因に心当たりがありすぎて、死んでしまったことに納得しながら、目の前にいる彼女が自分の考えていることを読み取ったことに驚いた。


「はい、修吾さんの考えていることは全てわかりますよ♪ あと私のことはウェヌスとお呼びください♪」


「あっはい。ウェヌスさん、いきなりのことで驚いているんですが、俺はこれからどうなるんですか?」


「そうですね、少し長くなるからお茶でもしながら説明しますね♪ まずはそこに座わりましょう」


 彼女が指をさすと、修吾のそばに円形のテーブルと椅子が2脚現れ、机の上には湯気が立っているお茶と煎餅が置いてあった。


 彼女は居住まいを正し、お茶を一口飲むと、


「改めて初めまして修吾さん、そしてようこそ私の管理する世界『アルガンテ』へ♪ 

 先ほども申し上げた通り、修吾さんは『地球』でお亡くなりになりました。そこで『アルガンテ』に転移して第2の人生を楽しんでもらいたいと思っています。」


「なるほど。う~ん、そもそもなんで僕が選ばれたんでしょうか? 転移ということは、生まれ変わるのではなくこのままの姿で始めるのでしょうか? ラノベにあるような魔王や邪神とかいるのでしょうか? 何か使命があるのでしょうか?」


 聞きたいことが次々に出てきた。


「1つ1つ説明していきますね。まず修吾さんが選ばれた理由は、たまたまですね。1000年に1度、『地球』でなくなった人に『アルガンテ』に転移してもらうイベントがあります。今日はその1000年に1度の日で、『地球』で亡くなられたのは修吾さんだけだったので、修吾さんが選ばれました。

 続いて、転移の認識は概ね合っています。年齢や外見に希望があれば、変更することも可能ですよ♪ 

 邪神はいませんが魔族の王という意味で魔王はいます。しかし人間と魔族は争いが起きるほど仲は悪くありません。特段仲が良いわけでもありませんが。

 最後に使命は特にありません。強いて言えば、とにかく楽しんでください。魔法を使って魔物を倒し英雄になるのも良いですし、自分のお店を開いてスローライフをするのも良いです。そのためのチート能力は授けますのでご安心ください♪」


 彼女は俺の質問に丁寧に答えてくれた。


「ちなみに、チート能力はどういうのがもらえるんですか」


「修吾さんに与える能力は3つあります。1つ目は定番中の定番、『鑑定』です。人、魔物に関わらずあらゆる対象の情報をみることができます。

 2つ目は『成長力増強』です。他の人たちと比べて20倍近く、経験値などを得ることができます。

 そして最後は『創造魔法』です。これは修吾さんが思い描いたあらゆる魔法を創造することができます。」


(なるほど...。だいぶ良さげな能力だな。特に最後の創造魔法は、色々なことを試せそうだ......)


「ありがとうございます。能力もよさそうですし、使命も特になさそうなので、転移したいと思います。あ、あと1つお願いなのですが、年齢を18歳くらいで、外見も少し若くしてもらえますか」


「決断ありがとうございます♪ 年齢と外見のほうも調整しておきますね。それでは~、そろそろ転移を始めたいと思いおます。転移を希望する場所とかありますか?」


「う~ん、そうですね。できれば、人里離れた森の中がいいです。魔法の使い方などに慣れるまでは、森の中でゆったり過ごしたいと思います」


「わかりました。じゃあ始めたいと思います。修吾さん、あなたの第2の人生が幸せであることを祈っています。いってらっしゃい!!」


 ウェヌスの声を最後に俺は意識を失った。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る