ただただ異世界でのんびりスローライフするだけの話
みやび
序章
プロローグ1
「先輩、あまり無理しないで早めに休んでくださいね!」
修吾にそう声をかけてきたのは、大学の後輩であり同じ会社で働いている
華金ということもあり美春からご飯のお誘いを受けたが、来月リリース予定の自社開発ゲームに大量のバグが見つかったため断ってしまった。
そのため入社3年目でありながら、プロジェクトマネージャーに抜擢されるほど会社から期待されている。
このチャンスを無駄にしないため、毎日遅くまで残業を行い会社に寝泊まりする生活を送っていた。
「ふぅ~、さすがに疲れたな。」
修吾は独り言を呟き、ポケットから携帯を取り出した。
画面を見ると23時を過ぎており、充電ゲージも真っ赤に染まっていた。
「もう23時か。」
そう呟き携帯を短い充電ケーブルに繋げた。
(あれ? 今日で何泊目だっけな...。)
ふと家にどれくらい帰宅していないのか気になった修吾は、机の上に散乱したエナジードリンクの空き缶の数を数え始めた。
「1,2,3、...、12、13本か。で、今日飲んでるの合わせて14本目。もう2週間近く帰宅してないのか。」
我ながらよく頑張っているなと感心していたときに、「ピロン!」と1件の通知が来た。
画面を覗いてみると、美春からLIMEのメッセージが届いていた。
携帯から充電ケーブルを外し、自分の誕生日で設定したパスワードを入力しロックを解除した。
赤い通知マークが沢山ついているLIMEを開き、美春のトーク画面に移動した。
「先輩、お疲れ様です♪ 前から行きたかったパンケーキ屋さんの予約が明日とれたんですけど、一緒に行きませんか?一緒に行く予定の友達が体調壊しちゃったみたいで...。ってことで明日12時くらいに家に迎えに行きますね~!おやすみなさい」
(!!!! 俺も前から行きたかったパンケーキ屋じゃん。この店全然予約取れないのによく美春のやつとれたな。仕事もこの2週間でだいぶ進んだし、明日くらいは気分転換でもしようかな...。)
修吾は少しの間考えて、「了解」と短いメッセージを送り携帯をポケットにしまった。
パソコンにうつる時間を見て、終電までまだ時間があることを確認した修吾は久しぶりに帰宅することを決心し、鉛が埋め込まれたような重たい体を起き上がらせ、両腕を上に思いっきり伸ばしてストレッチを行った。
決心してからの修吾の行動は早かった。
パソコンの電源を落とし、机の上に散乱したエナジードリンクの空き缶をごみ箱に捨て、会社をあとにするまで1分もかからなかった。
会社から駅までは歩いて10分くらいの距離があり、昼に食べそびれたサンドウィッチを食べながらゆっくりと駅に向かった。
15分くらいかけて駅に到着し、なんとか終電の3分前に駅に到着した。
「何とか間に合った。てか、やばいな。階段少し上っただけで、だいぶ脈拍がはやくなっている! 流石に運動不足かなぁ~」
と独り言をぼそぼそと呟きながら、ホームに向かい丁度到着した終電に乗り込んだ!
自宅最寄り駅まではたった2駅分で時間にして10分もかからない程度であったが、体力と睡眠の限界であった修吾は一番端の席に座り手すりにもたれて目を瞑った。
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