99回目の、アナです。

ーーー


お父さん、お母さん。どうしているの。

大将は元気にやってんのかなぁ


私、やっぱりもっと生きれた気がする。悔しいよ。



「__なー?」


「うっ」


この、特徴的なのは


丁度過去の思い出に浸っていた最中だ。勘弁してくれ。


捲りかけていた手を止め、慌ててを閉じ、鍵をかける。



ドンドン、カツカツ


私、何もしてないもん。あの頃は良かったなぁ、なんて思ってないもん。


「__アナ!!」


「お、お母様」


きん、と耳の奥が疼いた。ひえ、うるさい。私まだ7歳よ


振り向かずとも分かってしまうこの声。こう、脳天に突き刺さるというか。


……とはいえ振り向かない訳にはいかないのが現実。


「読書を、少し」


引き出しにしまった、に微かに触れる。本当に困ったもんだ。


大きな窓から見える、美しい庭園に背を向けて

黄金の髪を靡かせ、目くじらをたてるお母様に、目線を合わせた。




私___リビアナ・ラリシューデット・クランツァ。


通称、アナは



正真正銘、三十路OL、佐藤亜奈である。

あの、マヌケすぎる終わり方をした、伝説の佐藤である。



「今からおべんきょうします!」


「……あら、そうだったの?流石だわっ」



これは、99回転生の末の物語



「ふ、疲れた。何回目よこれ」



記念すべき100回目の、1歩手前の物語である。





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99回目の転生先がつまらなさ過ぎる、と思っていたらとんでもなかった件について。 まねきねこ @jwmgptx

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