6「もしかして主人公が攻略対象ですか?」

《友梨佳視点》


 始めてこの空間に来たとき、わたしは咲を頼りにした。咲はクラスの中でもカースト上位の存在だ。わたしはそのただの友達。でもここでしばらく一緒に過ごして分った。この子はただのバカだと。

 しかしわたしも大した人間ではない。でもなにも変わらないのに不満ばかりを言う咲の姿をわたしは冷めた目で見ていた。咲が現実に戻りたいと願うならわたしは超常的なこの空間にずっといると考えるようになった。


 エデンの園、おとぎ話だけどそれに近いように思う。この数日間、水と果物のような実を食べているだけなのに三人とも体調に異変がない。これだけでここがファンタジーの世界なのだという確信が強まった。

 このままの現状が続くと考えた時、思い付いたのは川村君と男女の仲になり咲に対し、優越感を得ること。アダムとイブを思い出したのは言うまでもない。イブになりそびれた女はどうなるのだろう?そう考えると思わず顔が歪んだ。浅はかな考え方だけど、この状況でどこか変になっていたのかもしれない。その願望は日が経つごとに強くなった。


 咲とケンカ別れをした。実は早い段階から見放すタイミングを伺っていた。この子が問題を起こすことは分かっていたし、反省しないことも分かっていた。

 そのあと川村君に会いに行く。ふと彼を利用する気持ちに後ろめたさがちらつくが、わたしは彼のことが本当に異性として気になっていることに気が付いた。父以外の初めての男性の裸に思いのほか気が昂ぶってしまった。まじまじと体中を舐めるように見て、そして男性器も見てしまった。

 昔、父とお風呂に入った時とは全然違う。わたしもオンナになったようだ。しかし体を見るのはお互いのようで川村君もわたしに興奮している様子だった。時間が経つごとに状況に慣れたのにも驚いた。裸で話してみるととても距離が縮まるようにも感じた。彼もそうらしく、お互いの呼び方を名前で呼ぶようになった。

 話しが弾んだなと思って彼のあそこの辺りを見てみると、腰蓑から赤いアレが顔を出していた。これがわたしの琴線に触れた。親近感さえ持っていた目の前の男の子が勃起していたのを隠そうとする様に愛おしいさを感じたのだ。

 これがきっかけでスイッチが入った。咲をダシに、距離を縮め、そしてあわよくばあちらから手を出させてやろうと。





《龍斗視点》


「そういえば、もうそろそろ実が採れる時間じゃない?」

「あ~そうなんだね。なんかお腹が中途半端に減るのにも慣れて、日が傾くと気が付くんだよねー」


 実は体感で昼の2時か3時に採ることができる。俺が最初食べた時は昼前だった。あれはかなり特殊なケースなのかもしれない。ちなみに一食食べれなくなるので検証する気はない。


「一緒に行こっか?」

「うん」


 一緒に歩いていて思った。生足とか手で押えてるおっぱいの揺れとかヤバイ。これはムラムラするわぁ。歩き方が時々不自然なのはバレバレだ。でも嫌な顔しないんだよなぁ。


「すぐ着いたね」

「この島小さいしね」

「そうだ、先に水浴びしてかない?」

「えっ」


 一緒に!?思わず息を止めちまったよ。


「いや、でもあの白いモチモチの上で寝てたら体キレイになるし」

「でも水浴びすると気持ちいいよ?」

「気持ちいいかぁ。それはいいかもなぁ」


 ヤバイヤバイ。絶対ヤバイよ!

 友梨佳ちゃんは泉のそばに置いてある桶を手で取り腰を屈める。


 あっ、もろに見えた。


「わっ!?」

「わはっ。どう?気持ちいい?」

「やったなっ!」


 お互いに水をかけあい、こどもみたいにはしゃぐ。

 

 なんだ、コレ?すっげぇ楽しいぞ?

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る