5「恋人未満のあやふやな関係」
「はぁ、むなしいなぁ」
こんな何もないセカイだ。筋トレの他には自家発電くらいしかやることがない。すごそばに裸の女がいるのにオカズがない自家発電はすぐに飽きた。俺って結構現金な奴だよな。
ではなぜ俺が彼女たちを犯さないのか?ここに来てすぐはそんな余裕はなかったし、それを行動に移すことなんて考えなかった。今は無理やりした後のことを考えてしまう、普通に俺は殺されるんじゃないか?と。案外、社会の中にいなくても人間は理性的なのかもしれない。
「かわむーらくん♪」
「うわっ!?」
突然声を掛けられ、俺は心臓が飛び出るほどびっくりした。慌てて振り向くとそこには胸を隠して腰蓑を付けた三上さんがいた。もしかしたら幻聴じゃないかと思った彼女の姿を見て俺は二度驚いてしまう。そして俺が釘付けになったのはおっぱい。2秒くらいジッとみてしまったのに気づいて慌てて三上さんに謝る。
「ゴメンっ!」
「ふふっ」
俺は慌てて腰蓑を付ける。ひとりで過ごすときにはこんなチクチクするものはつけたくないからだ。あっ、勃起してる……。絶対気づかれたよなぁ。
そんな感想とは裏腹に三上さんは微笑んで俺を見つめていた。
「どうしたの?こんなところまで来て」
「わたし、川村君とおしゃべりしたいなって会いにきちゃった」
「会いにきちゃった……」
学校で話すよりも何倍も心臓がバクバクするっ!
「そんなに見つめられると照れるなぁ」
「ゴ、ゴメン。さっきからドキドキして俺、普通じゃないみたいだ」
「え?」
慌てて手で顔を隠す。多分顔は耳まで真っ赤なのだろう。
「ふふっ。それなら仕方ないかなぁ。川村君もっとしっかりとしてると思ったけどかわいいとこもあるんだね」
「かわいい……?俺、サッカー部だったしちょっとゴツイけど?」
「わたしが思ったってだけ。女子って色々なものをかわいいって思うんだよ?」
……?そういえばさっきから三上さんの話し方がいつもと違うな。でもこの感じいいな。
「ところでさっきからいつもの話し方じゃないんだけど……?」
「……あっ、よくなかったかな?」
「いやいや。すごくいいなッと思って!……あとお互いの呼び方ももうちょっとフレンドリーになりたいかなと」
「うれしいなっ。じゃあ龍斗くんって呼んでいい?」
「じゃあ俺は友梨佳ちゃんって呼ぶね」
「よろしくねっ。龍斗君」
「よろしく、友梨佳ちゃん」
……ってちょっと冷静になったらものすごく恥ずかしくなってきたぞ。今は学校を休んだことやテストの結果が気になるとか世間話をしてるけど、頭のどこかでこの状況は異常事態だとサイレンが鳴っている。
ぶっちゃけ友梨佳ちゃんは異性としてアリだ。しかも手ブラでほぼ裸、それなのに俺と仲良くおしゃべりしている。俺も俺で大変なことになっている。腰蓑からナニかがこんにちはしてるし、それを隠そうと腰を引いてしまう。顔は熱く、真っ赤になっているだろう。
「ところでね。黙ってたことを言うね」
「!!」
「咲とケンカしたんだ」
「そうなんだ……」
「!!?」
やわらかっ!!突然握られた手はまさしく女の子の手だった。
「でもねっ!咲はワガママだと思うの……。龍斗君はどう思う?」
「あっ、あいつは昔からワガママだよっ!友梨佳ちゃんが嫌だって思ったんなら咲が悪いだろうなっ!」
「もしなにかあったら間に入って守ってくれる?」
「もちろん!」
「やっぱり男の子は頼りになるなぁ」
「……(ニマニマ)」
頼りになるかぁ。咲が理不尽なことを言ってきたら俺が友梨佳ちゃんを守ってやらないとなっ!
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