世界を賭けた戦い
第34話
――「速報です!ご覧ください!政府や警察に抗議をする市民たちが溢れかえっています!」
作戦会議から3日後、テレビには都市の各地で抗議団体がプラカードを掲げながら騒ぎを起こしている映像が流れている。
「抗議活動を行う人の中には物を破壊し現行犯逮捕された人もいます!」
「これはもはやただの抗議デモではなく、暴動と言えるでしょう!」
その映像を眺めながら険しい表情でバロウは立っていた。
リンとシュウの2人はいつも以上に気合の入った装備で部屋に集まる。
「相当騒がしい事になってるみたいだね」
「あぁ、どこまでクルークカンパニーの扇動が入ってるのかはわからねぇが」
「ジャンキー達もうまい事誘導して各地で騒ぎを起こしてる」
「警察も総出だなこりゃ、予定通り行けそうなのか?」
苦い顔でシュウがバロウに問う。
「あぁ、予定に変更はない」
「俺達は今からクルークカンパニー本社前に行って待機する、リズの宣言待ちだ」
「いよいよだね」
3人は顔を見合わせて少し深呼吸をした。
「よし、行こうか!」
歯切れのいいバロウの声で、3人は拠点を出て車に乗り込んだ。
車のパネルを操作し目的地を入力すると、車は静かに走り出した。
バロウが更にパネルを操作すると、リズの元に通信が繋がれた。
小さなモニターに映し出されたリズが軽く手を上げている。
「よう、こっちは予定通り現場に向かってるぜ」
「そうか、こちらも市民の鎮圧に手こずってはいるが問題ない」
「宣戦布告は約1時間後になる、現場で状況を確認しながら待っていて欲しい」
「・・・・」
少し考え込んだリズが姿勢を正し、改めて3人に声をかけた。
「これは、世界そのものを賭けた戦いだと言っていい」
「全ては君たちの手に掛かっている、どうか無事に任務を達成してくれ」
「りょーかい!」
リンとシュウが元気よく返事をした。
通信を切りしばらくすると、車はクルークカンパニー本社前に到着した。
巨大なビルの入り口前に既にいくつもの警察車両がおり、警官たちがその時を待っていた。
遠目ではあるが、入口の中には大量のヒューマノイドやバグの姿も見える。
「お疲れ様です、バロウさん」
「おう、ご苦労さん!」
「我々も出来る限りのサポートをしますが、御三方のご武運を祈ります」
「ははっ!ありがとよ!」
警官隊の隊長と思われる警官が3人に挨拶をし、警官隊も一斉に敬礼した。
顔を軽くパンッっと叩き、リンは気合を入れなおす。
持ち込んだ機材を真剣に確認するバロウ、シュウは真っすぐにビルを見上げその時を待つ。
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