第19話

 ――食事を終え片付けを済ませると、食後の飲み物を飲みながらくつろぐ4人。


 しかし、しばらくして携帯が警告音を鳴らし、4人の顔が緊張する。


「ブースターの反応か、5体・・多いな」


「食後の運動ってなー、全員控えてる時に来るなんてあほな連中」


 シュウはバロウと違い余裕の表情。


「たまには共闘といくか」


「はい!」


 リズとリンも気合を入れなおし、4人は玄関から外にでる。


 すると、5体の昨夜と同じデジタル人形がこちらを見ながらグルグルと唸っていた。


「なんだ、グラスしなくても見えるじゃんか、隠す気もねーってか?」

「折角おニューのグラス貰ったのに、つまんねーの」


「一応グラスは起動しとけよ、何かあったら困るからな」


 バロウがシュウに注意を促すと、リンも含めた3人は耳に掛けた新しい装置のボタンを押す。


「ほお、新しいグラスか」

「いいデザインだな、私の所にはまだ武器しか届いていなくてね」


「いいでしょ!さぁやっつけよう!」


 自慢げにリズに話をすると、リンは号令を掛け全員が武器を構える。


 人形達がそれぞれに殴りかかる、が、全員何事もなかったかのようにヒラリと攻撃を躱す。


 新しい武器の感触を確かめながら、人形に次々に攻撃を当てていく4人。


「おらどうした?パワーだけじゃ勝てないぜー?」


 時々地面を殴り大きな音がするものの、簡単に攻撃を躱すシュウ達は余裕の表情。


 あっという間に4体を倒し、最後の一体にシュウとリンが同時に切りかかる。


「おらよ!」


「フッ!」


 左右から綺麗に挟み込んで二人の刃が交差すると、最後の一体もポロポロと消えていく。


「うーんなんていうか、全然大したことねーな」


「目標周辺の人物を消せとだけ命令されてたんだろうな」

「いくら遠隔でプログラムされていても知能が無ければただ殴りかかる事しか出来ないわけだ」


 不満げなシュウを見ながらバロウは冷静に解析する。


「前も言ったが知能を持たせて強くなっても制御できなければ意味がない」

「ここを襲撃したのも、ただのテストだろうな」


「動作確認といったところか、これからさらに色々と組み込むつもりかもしれないな」


 リズもバロウの言葉を受けて少し考える。


「これからどうしたらいいのかな?」


「そうだな、取り敢えず法整備に時間はかかるが君たちにはブースターの製造工場を特定してもらいたいな」

「場所を特定し、内部の証拠を先に押さえておけば、事態が動いたときすぐに捕えられる」


「じゃぁまずは工場探しからだね」


 少し考えていたリンだったが、リズの話を聞き納得した様子。


「やることははっきりしているし、今日の所はゆっくり休もう」

「休日を無駄にはしたくないからね、ところでシュウ、お酒は行ける口なのかい?」


「俺?バッチリ飲めますよ!」

「折角リズさんの家なんだからいい酒飲ませて貰えるかもでしょ?」


「・・シュウずるい」


「フフッ 大丈夫だよリン、ちゃんと高いジュースもあるからね」


 ちょっとぐずるリンを見てクスクス笑うリズ。


 4人はブースターを回収すると、家に戻り宴会の準備を始める。


「よし!んじゃ再開しますかね!」


 シュウの声を切っ掛けに各々飲み物を準備する。


 都心の華やかな夜景が見える大きな部屋で飲みながら楽しく話して過ごす4人だった。

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