第17話
――ビルの多い都市中心から少し外れ、華やかな店が立ち並ぶ通りに到着した。
人通りも多く、様々な店が並んでいる。
その中でも、落ち着いた雰囲気のカフェの前に来たリン。
キックボードを止め、店に入ろうとしたところに一人の女性がハッとした表情でこちらに話しかける。
「リンちゃんだよね?ほら、リンちゃんだ!」
咄嗟に振り向いたリンは、驚いた表情で答える。
「マイちゃん!?」
カフェに入り、ベランダのテーブル席で興奮しながらも会話をする2人。
「いやぁまさかここでリンちゃんに会うとは思わなかったなぁ」
「ホント、高校卒業して以来だよね?元気だった?マイちゃん」
「元気元気!それだけが取り柄だもーん!」
「アハハッ!変わらないね」
楽しそうに昔話をする2人、高校時代リンと何時も一緒に話をしては笑いあっていたのがこのマイという少女だった。
飲み物を注文し終えると、さらに会話は弾む。
「マイちゃんは進学したんだよね?」
「そうだよー!勉強も一人暮らしも大変だけど、楽しいからいっかってね!」
「そうなんだ、楽しそうだね」
「リンちゃんはお仕事始めたんだっけ?」
「うん、こっちも結構忙しくて大変だけど、やりがいあるよ」
注文した飲み物を飲みながら一息つく2人。
「どんなお仕事なんだっけ?詳しく聞いたことなかったよね」
マイの質問に少し考えたあと、リンは口を開く。
「警察のお手伝いって感じかな、あんまり詳しくは教えられないんだ」
「へーそうなんだ、なんかすごい事してるんだねー」
不思議そうにしていたマイだったが、すぐに元の優しい表情に戻る。
「リンちゃんは強いから、きっと正義の味方になれるんだろうなー」
「私なんて、そんな大したものじゃないよ」
「そんなことないよー、昔からクールでかっこいいもん!」
「悪い奴がいても、きっとびしっとかっこよくやっつけるんだよ!」
「ハハッ、そうできればいいけどねー」
少し苦い顔をするリンだったが、マイは笑顔で話しを続ける。
「リンちゃん元気そうでよかった、お仕事も頑張ってるみたいだし」
「忙しくてなかなか連絡取れなくて、ごめんね」
「いいよいいよー、こうやってまた会えたわけだしさ!」
2人は楽しく笑いあいながら、お茶を飲みのんびりと過ごす。
昔の話、今の話、これからの話。
どんな話でもお互いに認め合い分かり合う、本当の「親友」
その時間は、リンの心を温かく癒した。
「はーもうこんな時間かー、そろそろ大学行かないとねー」
「フフッ、今度またどこか遊びに行こうよ、また連絡するね」
「おっしゃー!それを聞いてやる気出たぞー!」
元気いっぱいのマイに、リンは笑顔が絶えなかった。
「マイちゃん、私もっと仕事頑張るね」
「皆が笑顔でいられるように、頑張るから!」
一瞬きょとんとしていたマイだったが、そっとリンを抱きしめにっこり笑う。
「ありがとう、なにかに迷ったらいつでも連絡してね」
「――うん、ありがとう」
――大きく手を振り、マイを見送るリン。
(マイちゃんの為にも、頑張らないとね!)
リンは爽やかな表情で、決意を新たにする。
激戦を終えた少女は、ここから再び歩みを始めるのだった。
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