第3話 GOTOでひとっとび!
今、世界はバグという脅威にさらされていた。
バグとは虫の形をした怪物だ。
主に蛾の姿をしているが、場所によってはカブトムシの様な形をしたものも出たと聞く。
バグの姿は黄金に輝いていて一見すると、宝石の様に綺麗だ。
だが、その綺麗さに騙されてはいけない。
強さはピンキリだが、強いバグは人間が複数人で掛かっても倒せない。
……と言っても、バグの存在はまだ一部の人間にしか知られていない。
この日本でもバグの被害にあったという報告はまだほんのわずかしかないからだ。
こんな話を、今日、ジャヴァと一緒に拉致されるまで僕は知らなかった。
「一緒に帰ろう!」
ジャヴァが明るい声でそう言って来た。
教室を出ようとする僕に彼女は確かにそう声を掛けて来た。
「え?」
学ランに包んだ体が熱い。
4月とはいえ、もう初夏の陽気だ。
……いや、理由は天候のせいじゃない・
「おいおい、歴田のやつ……」
「あのさえない人が」
皆が、口々に噂する。
ああ、そうですよ。
僕が美少女に声を掛けられるなんて、天と地がひっくり返っても起きない事ですよ。
身長165cmで50kgのフツーの体系で、筋肉も特になく、顔はお世辞にもカッコいいとはいえない。
強いて言うなら、コンピュータが得意。
人は僕をコンピュータオタクと呼ぶ!
……なんか自分で言ってて悲しくなってきた。
「ね」
ジャヴァが桜色の唇をちょっとすぼめた。
上目遣いで問い掛けて来るような感じ。
「あ、ご、ごめん。今日は用事あるから」
うそだー!
僕は思ったことと真逆のことを口走った自分を殺してやりたくなる。
何でそこでカッコつける!
素直になれ、自分。
「え? 用事? 私と一緒じゃダメ?」
彼女は頬を膨らませ、怒ったようなそぶりを見せる。
さすが、アメリカ育ち。
意思表示はハッキリしてる。
しかし、膨らんだ頬っぺたはリスみたいに可愛いぜ。
「う~ん、でもなあ」
何、もったいぶってんだ、僕。
やっぱり嘘でしたって言われるのが、怖いんだろ、僕。
ガッ!
「え? あ、ちょっと」
すごい力だ。
彼女は僕の手首を掴み、引っ張る様にして教室を飛び出した。
そして、こう言った。
「GOTO MY HOUSE!」
つづく
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