第2話 クラスコンパイル

「Hello, World」


 何だ!?

 確かに彼女はそう言った。

 何か聞いたことがある。

 どういう意味だったっけ?



 1限目はプログラミングの授業。

 教室からパソコン演習質へ向かう。

 一人一人、パソコンの前に座る。

 東都科学高校は名前に科学という文字が付いているだけあって、技術系の授業が多い。

 僕が属している情報科は、プログラミングやAIの授業が多い。

 普通科の高校と違うのは、普通の授業が少ないということだ。


「今日は、JAVAで文字を表示するプログラムを演習する」


 先生からプリントが配られる。

 そこにはサンプルプログラムが書かれていた。


class HelloWorld {

public static void main(String[] args) {

System.out.println("Hello, world.");

}

}


 こんなの簡単だ。

 メモ帳を起動し、上記のプログラムを打つ込む。

 とりあえずのファイル名『test.java』という名前で保存する。

 次にコマンドプロンプトを起動した。


javac test.java


 と打ち込んで、test.javaをコンパイルする。

 test.classファイルが出来た。


「へぇ」


 僕の隣でジャヴァが驚いている。

 パソコン演習室でも、教室と同じ席順なのだ。


「こんなの簡単だよ」


 僕は手こずっている皆をしり目に、どんどん演習を進めて行った。

 僕にとってここの授業は簡単過ぎた。

 子供の頃から親の影響でコンピュータに親しんで来た僕には。


「実行してみるよ」


javac test


 コンマ何秒かの世界で結果が返ってくる。


Hello, world.


「あ! Hello, world……」


 僕は思わず、声を上げていた。

 そして、ジャヴァの顔を見る。


「歴田君、やっと私の挨拶に応えてくれたね」


つづく

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る