第58話 毛ぇ剃ってくんの忘れたんじゃ!

「さて、次は皆さんお待ちかね! パフォーマンス男子の部! 『愛ダンス』です!」


「…………」


 誰も待ってねーし。


「えー、今年はヴィエルくんたち、男子の部で踊らないのー?」


「ごめんねー、今年は女子の曲が好きでねー、そっちで踊りたいんだー」


「…………」


 嘘こけ。

 フェルデンと踊りたいだけだろ。


「えっ、でも、じゃあ。ヴィエルくんたちと踊れるのー!?」


「そうだよー」「そうです」


「キャー! 死ねるー!」


「…………」


 俺は『愛ダンス』が恥ずかしくて死にそうだわ。


みやびさん」


 振り向けば。


「特訓の成果を見せてあげましょう!」


 鉄仮面をしていてもわかる、キラキラした期待オーラ全開の、ガッツポーズ聖母様。


「……おう」


「ぷっ、ぶはぁ! 楽しみだね、豆先輩、。ぶっひゃっひゃ!」


「…………」


 ヲタ兄、顔と声がいいと、下品な笑い方でもイケメンだから、ホントクソ腹立つー。


な……」









 衣装に着替えました。


「……なぁ、逆じゃね?」


「何がー?」


「何で俺らが黄色いワンピースで! お前ら双子がストライプ衣装なの! 逆だろ!」


 MVでつきげんの周りで踊っていたダンサーが着ていた黄色いワンピースを、何故か男子が着ている。

 足がスースーするんじゃ! 毛ぇ剃ってくんの忘れたんじゃ! 


「えー。だってー、男子の部で踊れない代わりにー、ボクらが『愛』を歌ってあげるんだよー。だからー、これでいいのー」


 ヲタ兄はニヤリと笑い、黒サスペンダーをわざとらしく、パチンと鳴らした。


「しかも! どうしたらこんなにサイズぴったりに! 男子全員分を作れんの! 神か!」


「サイズなんてー、そいつら見ればわかるよー」


 さすがっ、衣装を手作りするレイヤー! 目視もくしでわかるんだな! そして、俺ら男子はそいつら呼ばわりね!


「あ、リールお姉ちゃん心配しないでねー?」


「何がでしょう」


「お姉ちゃんの分のワンピースも作ったからー。ミニスカで」


「え……」


「…………」


 下心、丸見えでんがな!



−−−−−−



 あとがき。


 次回こそ『愛ダンス』です!


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