第42話 逃げるは恥でないし役に立つ!
「『筋肉は恥だが役に立つ』というドラマの主題歌だったんですねー」
「……」
何も。
「結構テンポが早いダンスですねー、手の動きとか」
「……」
歌が。
「メロディの部分なんか、手がくねくねしているみたいで、難しそうですねっ」
「…………」
入ってこん!
しゃがんで動画を見て、イヤフォンを共有する事により、体が密の着! 全神経がそっちに行っている!
いや、だがしかし! 浮かれるな! こういう時は必ず!
「なーにをしているのかなー? ボクたちのお姉ちゃんとー」
……ほらな。
「ヴィエルさんとサージュさん」
フェルデンは動画を止めて振り向いた。それによりイヤフォンが外れ、ノーミッチャク。さらば、俺の青春。
「男子のダンスの曲を聴いていたんです」
「あー、『愛』ねー」
「あの振付師さんは、僕らもお願いした事があるが、ユニークで簡単そうに見えて難しい振り付けで有名だ」
そういやお前ら、アイドルだったな。
「悠長に言っているが、お前らも踊るんだぜ『愛ダンス』」
「んー? 何を言っているのかなー? 豆先輩は」
「何って」
「ボクたちは『キュム』に決まっているじゃないかー」
「はぁ!? 去年は男子のパフォーマンスしていたろーがよ!」
「女子受けいいし」
「姉さんがいなかったからね」
「お姉ちゃんがいる今、女子の方でやるに決まっているじゃないかー」
「だって僕たち」
「女の子だからー」「女の子ですから」
「……」
ニヤァと笑いきれいにハモりやがった。
「こういう時ばっか
「いやー、女の子でよかったよねー」
「ああ、こういう時は神様に感謝だ」
「……」
神様なんかくそったれですー!
「というわけで、よかったねー、豆先輩」
「……何がだよ」
「ボクらが女子側ということはー? もれなくー? あの双子天使が豆先輩と一緒……、ぷっ、ぶっひゃっひゃっひゃっ!」
「兄さん」
「だってっ、サージュッ。玉付き天使に挟まれ、『愛ダンス』を踊る豆先輩を想像してみなよっ? 三人で種族を超えてゆけーとかやるんだよー?」
ヴィエルは『種族を超えてゆけ』の部分の指を前に出す動きをした。
「ふっ、それは確かに笑えるね」
サージュはクールに笑ったが、口元が完全にバカにしていたぞ!
「ほら見て豆先輩、噂をすれば上から」
「ん?」
「
見上げると、ピンク髪天使二人が。
「リュゼたちと『愛ダンス』しよー!」
玉をぶら下げてこっちにやってくる!
「……うおおぉああぁー!」
俺は、全力で逃げた。
逃げるは恥でないし役に立つ!
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