第2話 サラの自覚
……。
ここ何処だろう。さっき、頭を持ち上げようとして、木でできた柵の出っぱり部分で、思いっきり、頭を打ったんだ。
…あっ、頭が痛い。手で触ると、頭の一部にピンポン玉の大きさぐらいのふくらみがあった。ジンジンとする後頭部の、痛いところを左手でさすり、そして、唸りながら、考えていた。
なんで、…あっ、さっき庭の隅の方が光って見えたから、みにきたんだった。あれ、どこにいったんだ、さっき拾った右手を見ると、…無いや。
足元を見ると、あっ、あった。これは、キラキラ光って綺麗な赤い石のついた指輪。そういえば、お母さんが探していたような…。
お母さん、あれ、女の人の顔が、二人思い浮かんだ。一人は、長い髪の金髪で瞳は茶色。もう一人は、短い黒髪に、黒い瞳の女の人…。サラ、さら、沙羅なんか、思い出してきた。私、死んだんだ。あの時……。
なんか、思い出したかも。ピンポン玉なんてモノ、今まで、見た事ないし、これは、私の前の記憶によるものなんだ。
考え事をしながら、ぼーっとしていたら、
「サラ、どうしたの? 何、そこでぼーっとしているの。」
呼ばれた方をみた。ブロンドヘアの綺麗な女の人が心配そうにみていた。
「あっ、お母さん、私、今頭打って、痛かったから治るの待ってたの。」
「そうなの、みせて、あらホント。さあ、お母さんがとっておきのおまじないするから…待ってね。」
頭の上に手をかざした。
「……ヒール」
すると、痛いところが治った。
「ねぇ。これって、おまじないなの?あっという間に、痛くなくなったよ。」
「これは、初級魔法よ。」
「すごい。すごいよ。お母さん。」
そして、私は、おもわず母親に抱きついた。
「これでも、若い頃は、それなりに魔法できたのよ。」
「ねぇ、お母さん、これ、さっきあそこで見つけたの!」
「‼︎…。ありがとう。サラ。見つけてくれたのね。これ、お母さんのお母さんから貰った大切なものなのよ。」
「うん。」
「家の中にいきたいから、入ろ?!」
そして、私は何事もなかったように、母親と家の中に手を繋いで入った。
母に部屋で遊ぶことを伝え、自分の部屋に戻り、ベットの上に腰をかけて、今の現状を思い出していた。
私の部屋には、もう一つベットがある。2歳年上のラウラのものだ。ラウラは、私と血のつながりのあるお姉ちゃんで、今、教会で勉強している最中。昼には、帰って来ると思う。五歳から教会で字を習い始めるのだ。これは、ラウラからの情報だ。そして、今の私は4歳。そして、隣の部屋からは、赤ちゃんの泣く声が聴こえる。私の弟、ライルの声だ。
隣から母親がライルをあやす声がきこえる。……♬。一緒に私も子守歌を口ずさんでいた。
それにしても、今世界の父親、母親なんの仕事をしているんだろうか。母親は、家事と畑仕事、父親は、狩りでもしているんだろうか。たまに、お肉を持って帰っていたような気がする。
どうだろう?今晩、夕ご飯の時にでも聞いてみよう。
そうしよう。どうせ、深く考えても答えは出ないし、情報を集めることの方が先かもね。
ある練金術師サラ・グレースの物語 宇宙明星 @sora-akari
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