第14話 旅の扉
旅の扉。古い時代から存在する空間と空間を繋ぐ神秘の技術にして、遺跡とも表現できる場所である。
旅の扉がある遺跡跡には大量の魔物が棲息してしまっている不浄の遺跡となってしまった。
石碑には大量の魔物を封印する為にこの遺跡を封印したと書いてある。彼らはその石碑をどけて、旅の扉がある遺跡の奥を目指さないとならない。
するとそこにハザードの見知りの商人も大陸を越えようとこの遺跡跡にやってきた様子だった。思わずハザードは声を掛けた。
「リベルトじゃないか」
「ハザード。久しぶりだな。おい」
「お前も大陸を越える為にこの遺跡跡にきたのか?」
「まあな。数年前にはこんな石碑無かったけど、最近は魔物の数が増えたし。封印されてしまうのも無理はないか」
「リベルト。この石碑を退ける方法はあるのか?」
「左側の奥の通路の行き止まりに剣士像の石像があるだろう? あの後ろ側を調べるとボタンがあるからそれで仕掛けが動くらしいぜ」
「答えは単純明快だったな」
「変に難しい仕掛けよりかは安心できるだろ?」
リベルトの言葉通りに通路を進むと確かに剣士像の石像が置いてあった。
その裏側を調べると小さなボタンが背中にあった。クレアはボタンを押した。すると石碑が動くような音が響いて仕掛けが動いた。
石碑の場所に戻ると石碑が横にスライドして先に進む道が開かれている。
この道を進めば旅の扉のある部屋へとたどり着く寸法だ。
「リベルトは先に進んだようだな」
「ハザード。この遺跡跡には来たことあるよね。案内頼める?」
「わかった。大丈夫さ。そんなに複雑な迷宮でも無いから」
「ハザード。お前、そういえば元々この土地の人間でもないものな」
「エリオットもオグスもこの土地の人間ではないだろう?」
「少なくとも俺はもっと北国の生まれだね」
「オグスは?」
「俺は行けば判る場所だな」
曖昧な言葉で出身地をぼかしたオグス。
行けば判る場所とはどういう所だろうか?
先に進む通路を道なりに歩く。壁は青みを帯びた壁で、確かに元々は遺跡だった名残りがある。
所々にはここで生命を落とした旅人のさまよう魂たちが動いていた。
彼らは死んでも、生前の後悔であの世にも行けないでこの世に彷徨うのだ。
「さまよう魂たちが動いているというのもなかなか怖いものがあるね」
「怨念が霊になったようなものだからな」
「この遺跡跡にはお宝とかあるのかしら?」
「ここまで来て、今度はお宝探しかい? とりあえずまずは旅の扉を探し出す事を優先しよう。それからだと思うよ」
「クレアは勇者というよりトレジャーハンターだね。おたからに目がないなんてさ」
「ハザードはどうなんだ?」
僧侶オグスが訊いてきた。
商人ハザードは確かに自分自身にもそういうお宝探しは好きという側面はあるらしい。
「俺もお宝探しには興味あるね。商人として珍しいアイテムを見聞するのは憧れだからね。特に伝説的な武器なら、尚更」
そんな世間話をしていたら、とうとう目的の古くから伝わる神秘の扉へとたどり着く。
それは水色の渦を巻く時空の狭間が形になったような見た目だった。
ゆったりと渦は中心に向かって渦巻いている。行き着く先は旅の扉によってあらかじめ決まっているらしい。
この旅の扉は海を越えた先の大陸に続いている、という。
「これが【旅の扉】なのね」
「古代の人々が遺した神秘の技術か」
「この旅の扉をくくれば海を越えた大陸にたどり着く。そこからは街はちょっと遠いから、クレア。覚悟は決めておいてくれよ」
「う、うん。わかった」
彼らは【旅の扉】へ体を入れると、まるで時空が捻れたような感じで、その旅人達の体を遥か異国の地へと導く。
一瞬だったのか、わからない感覚の後に視界が開かれると、そこは全く違う石畳の壁が見えた。
彼らはそのまま、表に出る。
そこは全く違う異国の地だった。
海の潮風を感じる緑色の平原。
そこから彼らの本当の冒険が始まる。
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