第8話

「きつねうどん」(八)


「(丘だ----)」


「こんっ こんっ こんっ」


しばらく、英孝がきつねたちの後を


尾けていくと、狐たちは


大きな甕を担(かつ)ぎながら月明かりが差す、


小高い丘の上に辿り着く


「ガタタッ」


「(・・・・?)」


白い狐の後ろに付いていた、


行列を成していた甕を担いだ


狐たちが、その甕を、丘の上に置かれた


よく分からない、石造りの


台座の様な物の上に乗せている


「こんっ こんっこんっこんっ」


「・・・?」


物陰に隠れながら、


英孝はその様子をじっと伺う-----


「こんっ こんっ!」


「・・・・!」


きつね達の中から、


白い紋付き袴を着た大きな狐が進み出てきて


台座の上に置かれた、甕の前に立つ


「("きつね"-----)」


「じゅるっ」


「・・・・」


白い狐が、甕の前に立ったのを見て


英孝は、何となく甕の中に入っている物が


"きつね"


では無いか、そう感じた-----


「こんっ こんっこんっ」


「ガサッ」


「ガタタッ」


「・・・・?」


突然、狐が激しく鳴き出す


「コンッ コンッ コンッ」


「ガササッ」


「(・・・!)」


それと同時に、どうやら別の道があったのか


反対の林の中から


何か、狐に似たような、そうでない様な、


よく分からない"動物"の様な物が


何十匹も、行列を成して


狐たちの元まで近寄って行く


「サァァァァァァァァ」


「("狸"------!)」


「サァァァァァァァァ」


「ぼんっ ぼんっ ぼんっ」


「ガタッ ガタタッ」


月明かりに照らされ


よく分からなかった、林から出て来た


"何か"の姿が、英孝の目に入ってくる


「(た、たぬき----)」


「ぼんっ ぼんっ ぼんっ!」

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