第6話

きつねうどん(六)


「(・・・・?)」


「ガサッ」


「ガササッ」


しばらく、狐たちが甕の中の


何かを回しているのを見ていると


突然、じっと動かなかった部屋の奥にいる


大きな、白い狐が椅子から立ち上がる


「(ま、まずい)」


「どすっ どすっ どすっ」


「(・・・・!)」


こちらに向かって歩いてきた


白い大きな狐を見て


英孝はとっさに、襖の影に隠れる


「どすっ どすっ どすっ」


「(・・・・・)」


「こんっ こんっ こんっ こんっ!」


「・・・・!」


「ガサッ」


「ガサッ」


「(甕・・・・)」


「どすっ どすっ どすっ」


白い狐が、英孝のいる部屋を通り抜け


縁側から、草履(ぞうり)を履いて外に出る


「こんっ こんっ こんっ」


それに合わせて、甕の周りにいた狐たちが、


何匹かで、何かを回していた甕を持ち上げ


白い狐の後を追って行く


「(--------)」


甕を担(かつ)いでいた何匹かの狐の内、


一匹の狐が、英孝が隠れている


箪笥(たんす)の裏に、視線を向ける


「(ま、まずい-----!)」


英孝は、とっさに箪笥の振りをする


「・・・・・」


「スッ-----」


「(あ、危ない----)」


どうやら、ただの箪笥だと思ったのか、


狐は、視線を戻すとそのまま、


前を歩いている大きな白い狐の後を追って


甕を担いでいく


「ザッ ザッ ザッ ザッ------」


「こんっ!」


「こんっ こんっ!」


「(狐------)」


箪笥の裏から狐たちが外へと出て行くのを


英孝はじっと見つめる


「(・・・・!)」


「こんっ こんっ こんっ!」


「こんっ こんっ!」


「(狐------)」


狐たちが甕を担ぎながら


暗い、月明かりだけが差している


外の通りへと出て行くのに合わせて、


どこから来たのかは分からないが


別の狐たちが甕を担いでいる


狐たちの周りに集まってくる


「(行列-----)」


「こんっ こんっ こんっ こんっ」


「こんっ こんっ」


「ザザッ」


「ザザザッ」


「(-------、)」


狐の数がどんどん増えて行き


白い狐の後を追って


長い、行列の様な物ができている------


「(ど、どこに行くんだ----?)」

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