第13話
2度目の陛下との朝食の場、今日は昨日より食べられるように頑張ろうとアイリスが素早く咀嚼を繰り返していると、「ああ、そうだ」と声を出した陛下に、その場にいる全員が食事の手を止める。
「ロータス」
「はい」
「婚約披露パーティーはしなくていいから、さっさと結婚してしまいなさい」
「…へ、」
「王族の恋愛結婚なんて初だろう?やっぱり運命の人はこっちだ、と平民でも連れてこられたら、たまったものじゃないからな」
「そんなことしません…」
呆気にとられたような表情でそう言うロータスに、どんな反応をすればいいか分からずアイリスが陛下から視線を逸らすと、その先で王妃殿下と目が合い微笑まれ、ほぼ反射的に微笑み返す。
「アイリスは元々政治や経済にもご興味があって、ほとんど王族教育も必要ないそうじゃない。迷うことなんて何もないんじゃないかしら?」
王妃殿下の援護射撃から助けを求めるようにアイリスに目を向けたロータスは、「私はロータス様のお気持ちに従います」と言うアイリスに、笑顔を崩さないながらも表情に困った色をにじませる。
「アイリスもこう言っているし、結婚で良いだろう。それに王子はお前しかいないことだし、早く子供の顔を拝ませてもらわねばな。…ああ、その前に立太子が先か」
「ええ、そうですね。王子が一人しかいないのも、争い事がなくて良いですが、やはり子供の不安はありますものね」
陛下と王妃殿下のみで進んでいく会話にロータスとアイリスが顔を見合わせ苦笑いをしていると、「まぁ、本当に仲が良いのね!」と王妃殿下が嬉しそうな声を出す。
「これは、子供の心配はする必要がないな!」
「そうですわね!」
随分と踏み込んだ話を目の前でされ、気まずくて仕方ないアイリスとロータスは今のうちにと食事を食べ進め、昨日よりも多く食べたところで食事を終えることができたのだった。
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